カテゴリー別アーカイブ: 欧州の地方自治情報

政府の学校建設補助金廃止に対し自治体が提訴

2011年01月24日 

550億ポンドの「将来のための学校建設」(※)補助金廃止というマイケル・ゴーヴ教育相の決定に対して、6つの自治体が政府を高等法院に提訴することとしている。
ケント県、ノッティンガム市、ルートン市、サンドウェル市及びロンドン東部のウォルサム・フォレスト区とニューハム区は、このプログラムの準備のために既に支出した何百万ポンドもの費用について損失を被ったと主張している。
※将来のための学校建設(Building Schools for the Future programme)
イングランドの公立中学校の校舎を改築または修復することを目指すプログラム
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 24.1.2011


在宅介護における地域的不公平

2011年01月21日 

消費者団体「Which?」による発行雑誌からのレポートによると、在宅介護・医療のために、毎月最大900ポンド(約121,500円)支払っている高齢者がいる一方で、他の地域では実質的に無料のところがあることが明らかになった。
さらにいくつかの自治体では、高齢者の負担を増加させつつある。ノッティンガム市の広報担当者は、「我々が高齢者の費用負担を改定しなければならなくなってきている唯一の理由は、政府が今回のような乱暴な歳出削減を行ったことにある」と述べている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 21.1.2011


地方自治体協議会(LGA)が中央政府を訴える可能性(「LGAは、政府からの補助金に関して法的手段を計画」

2011年01月20日 

LGAの情報筋によれば、一旦国庫に納入されたのち、地方自治体に再分配されるビジネス・レイトについて、LGAが中央政府を相手に訴訟を起こすことが検討されているとのことである。
クリスマス直前に政府によって次予算年度の地方自治体財政計画が公表されたのち、地方自治体がその詳細内容を把握し、各自治体の予算を計算するためには多少の時間を要した。その結果、財務省は、ビジネス・レイト税収の一部を国庫に残し、地方自治体に分配しない方針であることがわかった。地方自治体の首長らは、この財務省の方針は、1993年に施行されたビジネス・レイトに関する法令違反行為に該当すると確信している。現在のところ、LGAは公式にはこの問題に関して政府との合意を目指すとしているが、一部のLGA幹部は、法的手段も辞さないとしている。
*参照 The MJ 2011年1月20日号1面


地方環境維持交通基金

2011年01月19日 

政府は1月19日「成長を創出、二酸化炭素を削減」と題する白書を公表した。
白書には、公共交通のより大幅な利用促進とウォーキングや自転車の利用促進をねらいとした、自治体に対する5億6千万ポンドの地方環境維持交通基金についての発表事項が含まれている。

白書に示された戦略目標の概要は次のとおり。
・自治体による規制を減らし、二酸化炭素を削減する。
・雇用創出を支援するため、より小規模なプログラムへの投資を行うことで、地域において迅速に成果を出す。
・地域のニーズにより合致する地域交通システムの革新を主導する更なる権限を地域住民に与える。例として、ノース・ヨークシャー県やデボン県で実施されている「Wheels to Work」(通勤用原動機付き自転車貸し出し事業)のような支援制度があり、これは、僻地の住民が仕事や研修に出かける際に、個人利用の交通手段を公的に提供するものである。
【出典】交通省ウェブサイト
http://nds.coi.gov.uk/clientmicrosite/Content/Detail.aspx?ClientId=202&NewsAreaId=2&ReleaseID=417493&SubjectId=36


図書館、青少年クラブ、そして道路清掃が「民営化」の準備

2011年01月17日 

自治体および外郭団体から民間への業務アウトソーシングが増加し、公共サービスはますます民間会社によって運営される傾向が強まっている。
労働組合は失業者増を警告しているが、一方、民営化によって納税者はお金を節約できるという声もある。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のトニー・トラヴァース調査研究所長は、「今回の歳出削減は70年代のものよりさらに一層踏み込んだものであり、自治体の歳出削減を強いられるスピードは空前絶後だ」と述べている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 17.1.2011


移民制度の改正

2011年01月15日 

オーストリア政府は、これまでの移民政策を見直し、新たな移民受け入れ制度を導入した。新たな赤白赤カード(国旗にちなんでいる)の2011年7月の導入以後は、EU域外からの移民に関して、人数による制限は廃止され、特別な基準による制限が行われることとなる。
2010年12月9日に新しい制度について説明を行った内務大臣によれば、移民の職業に関連する資格を考慮していなかったこれまでの柔軟性のない人数制限システムは、基準に基づく移民受け入れ制度へと改正される。
赤白赤カードには、ポイントシステムが適用される。この赤白赤カード保持者は、オーストリアでの居住権と労働市場へのアクセス権を持つこととなる。一定のポイントを取得するために満たさなければならない基準は、職業資格、教育、言語能力等である。これらの基準が満たされれば、移民としてオーストリア国内に居住し、職を得ることができる。過去の人数制限による移民制度は適用されないこととなり、オーストリアの居住に係る制度全体は、この新しい規則に従って再構築される。3つのグループがこの赤白赤カードを申請することができる。まず、高度熟練労働者(医師やIT技術を持つ者)、労働力が不足している分野における熟練労働者(看護士、スズ細工職人、労働力が不足しているかどうかについては、労働需要に応じて個別に判断される)、また国内の労働力で補充することのできない高度熟練労働者がこの3つのグループである。
加えて、「赤白赤カードプラス」も導入される。このカードは、労働市場へのアクセス及び永住権を保障し、移民者の家族に対して交付される。加えて、過去に赤白赤カードや又はEU青カードを保持していた者に対しても交付される。
オーストリアへ移住する高度熟練労働者に対しては、オーストリア入国前にはドイツ語の知識は求められない。一方、その家族に対しては異なる規制が当てはめられることとなり、上記3グループのうちの1つ目の家族はドイツ語の能力を問われないが、2つ目及び3つ目のグループの家族に対しては、最低限、基本的なドイツ語の能力が求められる。

【出典】オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6892/default.aspx#id41873


遠距離教育は将来のための重要な課題

2011年01月11日 

 遠距離教育によって、過疎地の生徒が充分な資格要件を備えた教師により教育を受けることが容易になる。しかし残念ながら、この度の教育省の遠距離教育に関する提案は、言語教育のみに限定されたものである。
 SKL(スウェーデン地方自治体協議会。英語ではSALAR)はこの点、またその他の詳細事項についても提案から削除するよう提案する。
 SKLは遠距離教育問題が法的に明解な立場を得られることを好意的に捉えているが、遠距離教育が言語科目に限定される理由は一切ないと考えている。
 例えば過疎地にある自治体で、遠距離教育のための適切な技術設備があり、数学や自然科学の適任教師がいない場合、同科目やその他の科目について遠距離教育を行うことは非常に合理的だ、とSKLのアンデシュ・クナーペ会長は語る。
 SKLはまた、教育省の提案が余りにも細部に渡る規則であることにも反対している。例えば、遠距離教育は当該学校の属する自治体以外の自治体の学校に雇用されている教職員によってのみ行われること、また授業は生徒が就学している学校施設内で実施すること、などとされている。  
 (スウェーデン北端に位置する)パヤラ自治体の必要とする資格要件を備えた教師が、(最南部の)マルメ自治体所属の教職員であった場合、パヤラ自治体はその教員の所属自治体を問わず、遠距離教育を行うために採用できるべきだ。また自宅で同等の授業を受けられるにもかかわらず、生徒が学校の教室に座るためだけに交通機関を利用して長時間通学する必要があるとすれば、それは合理的ではない、とアンデシュ・クナーペ会長は述べている。

【出典】スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2011年1月11日発行)
http://www.skl.se/web/Distansundervisningen_viktig_framtidsfraga.aspx


グリーンエネルギーは税務省の頭痛のタネ-グリーンエネルギーの使用量が増加に伴い、エネルギー税収が減少-

2010年12月15日 

デンマーク・税務省によると、グリーン・イニシアティブに基づく税収の減少により900億クローネの経済的損失が生じるという。これを受けてPoulsen税務大臣は、エネルギー税収の減少と北海の石油資源からの収入減が経済に与える影響について、包括的な分析を実施する
「現行税制度の安定性を確認し、化石燃料が枯渇した場合起こり得ることについて検証する必要がある」とポールセン氏は述べた。
昨年政府は340億クローネのエネルギー税を得た。また、自動車税が236億クローネ、北海におけるデンマーク石油プロジェクトから246億クローネである。デンマークでは風力発電などグリーンエネルギーが大きな割合を占めており、電気自動車は2015年まで登録料を免除されているが、Poulsen氏は2020年まで税収の大幅な減少はないと見込んでいる。しかし、もし電気自動車の販売台数が大幅に上昇した場合、通常の車にかかる登録税の132億クローネを失うことになるだろう。
政治家はグリーンエネルギーにより生じる穴を埋めるため、新たな課税を導入する必要があると専門家は指摘し、その例として渋滞税、電気自動車のバッテリーに対する課税、新しいグリーンエネルギー税、農業で発生するCO2に対する課税を挙げている。
税務大臣は調査結果を来年までにまとめるとしている。

【出典】コペンハーゲンポストのウェブサイト
http://www.cphpost.dk/news/politics/90-politics/50604-green-energy-proves-headache-for-taxman.html
現行税制度の安定性を確認し、化石燃料が枯渇した場合起こり得ることについて検証する必要がある」とポールセン氏は述べた。


外国人児童・生徒への教育を強化する必要がある

2010年12月01日 

 スウェーデンのプレスクール(就学前教育)や基礎学校(義務教育)で、教師が外国人児童・生徒のニーズに対応できないため、生徒たちが授業についていけなくなっていることが学校監察庁(Skolinspektionen)の調査によって明らかになった。
 学校監察庁は、12都市で21のプレスクールと21の基礎学校を対象とした調査を行い、様々な文化的背景を持った児童・生徒たちへの教育を改善・強化するための手段を検討した。「スウェーデンのすべての子どもたちは母語がスウェーデン語であるなしに関わらず、教育を受ける権利がある。しかし学校運営において、そうした子どもたちへの対応が不十分であるため、学習に遅れが生じ、学習目標を達成することが難しくなっている」と学校監察庁の調査担当者Agneta Ericsson氏は述べている。スウェーデン・ラジオは、外国人児童・生徒のうち、4人に1人が義務教育終了時に到達すべき学力を達成しないで義務教育課程を終えていると伝えている(スウェーデン人生徒の場合、10人に1人の割合)。
 学校監察庁の調査によると、学校での指導では、多言語・多文化の視点が欠けているため、外国人児童・生徒が授業を理解しやすい状況を生み出すことができていないと指摘している。教員も外国人児童・生徒が話す言語や文化についてほとんど知らず、授業や学校活動において、子どもたちの持つ様々な文化的背景や経験が活用されていない。そして、学校側は子どもたちの教材や学習の習熟度の追究ができていない。このため学校側には、子どもたちの持つ様々な文化的背景を理解し、学習カリキュラムに反映させるなど、外国人児童・生徒の教育に早急に取り組むことが求められているとしている。またプレスクールでは、子どもたちの母語習得を補助する必要があるとしている。そして必要があれば、子どもたちの母語での指導を行うことで、第二言語としてのスウェーデン語の習得を促すことを提案している。

【出典】The Localのウェブサイト
http://www.thelocal.se/30518/20101130/


基本法における自治の強化

2010年11月30日 

 本日国会は(2度目となる)地方自治を明確に強化する基本法の改正を議決した。自治の強化によって、地方自治体と州議会がよりよい業務を行い、住民の日常生活に密接した施策決定を行なうことが容易になる。
今回、国会での決定によって、地方自治体は基本法内に特別な条項を与えられ、そこでは地方自治の原則が顕著に示されている。地方及び広域行政区の公共関連諸事業については、当該地方自治体の実情や状況を基準として運営・管理することが、新しい条項に明記されている。また国会は基本法の改正と併せ、地方自治体法についても、特別選挙を可能にする要件や住民投票の手続といった、重要な改正について決定した。
 「今回の国会の決定は、スウェーデンの民主主義における地方自治体の特別な立場を明確に示したものだ。またこれはEUの法律制度への適合でもあります。国民にとっては、彼らの選択した地方自治体や州議会の政治的代表者よる自治を強化するという意義がある。」と、SKLのアンデシュクナーペ理事長は語っている。
 本改正事項では、例えば、 政体法における均衡に関する重要な原則が明記され、これによって政府と国会が自治を制約することが困難になっている。またこの原則によって、立法機関は最小限の介入措置により目的を達することができるように、代替案について充分な調査検討を行なう責任を負うことになる。もし同等の目標を達するのに幾つかの選択肢があるならば、国会は自治体の自主的な意思決定権に出来る限り抵触しない方法を選択する義務が課される。
 「基本法により明白な支援が得られたことは、地方の民主主義にとって非常に喜ばしいことだ。」とアンデシュ・クナーペ理事長は語っている。

【出典】
スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2010年11月30日発行)http://www.skl.se/web/Starkt_sjalvstyre_i_grundlagen.aspx


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