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CLAIRメールマガジン vol.289(2022年1月7日)=「スコットランドにおける『LGBTQ+インクルーシブ教育』の実践」

2022年01月07日 

LGBTQ+の法的保護に関してヨーロッパで最も先進的な国の一つとされているスコットランドにおいて実践されている 「LGBTQ+インクルーシブ教育」について紹介します。

■全公立学校におけるLGBTQ+の授業を義務化

2021年、スコットランドでは、世界で初めて性的マイノリティに関する授業「LGBTQ+インクルーシブ教育」を公立学校のカリキュラムに組み込むことが義務化されました。LGBTQ+の子どもや若者の平等性の確保の促進を目的に、LGBTQ+の歴史や同性愛嫌悪対策、LGBTQ+コミュニティへの偏見等について年齢に応じたカリキュラムが組まれています。さらに、例えば算数の授業では、計算問題の中で「2人の父親に父の日のカードを購入するために必要な金額を算出するシチュエーション」が扱われる等、既存の科目においても、LGBTQ+の要素が織り込まれています。

■4歳から自分で性を変更できる

2021年8月には、スコットランド政府により新たなガイドラインが発表され、子どもたちは、親の同意なく学校における呼び名と性別を変更できることとなりました。教師は、性別を変えたいという意思を示した生徒に疑問を呈してはならず、生徒に新しい名前とどのような代名詞(He/She/They等)を使ってほしいかを尋ねることが求められます。これにより、スコットランドの初等教育が始まる4~5歳の子どもたちも、自らの意思で性別を変更することが可能となりました。

ここ数年、日本においても、LGBTQ+への理解が徐々に浸透していることを実感する機会が増えてきました。一方で、LGBTQ+の人たちが日々の生活の中でどういった思いや悩みを抱えながら、困難に直面しているかについて学び、考える機会はまだ少なく、偏見や差別、いじめは現在も世界各地で起こっています。

そうした状況を、教育の現場から変えていくことを実践する上記の取り組みは、今後、すべての子どもや大人が自らの性別や世間の固定概念にとらわれることなく、自分らしく生活し、活躍することのできる社会を実現するための、重要な一歩であると考えます。

詳細については、こちらのレポートをご覧ください。https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/scotlgbtq/

ロンドン事務所 所長補佐 中村

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