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CLAIRメールマガジン vol.287(2021年12月10日)=「ウェルビーイングを数値化し、政策の指標とする英国の取り組み」

2021年12月10日 

日本語では「幸福度」と訳されることの多いウェルビーイングですが、英国国家統計局はウェルビーイングについて「個人、コミュニティ、国家として良好な状態にあることで、それが将来的に持続可能であること」と説明しています。
英国国家統計局は、2010年に国民のウェルビーイング測定プログラムを開始し、国民のウェルビーイングを測るための一般的で信頼性の高い指標を作成し、英国全体のウェルビーイングに係る状況を年に2回公表しています。この指標には、主観的なデータと客観的なデータの両方が含まれており、GDPなどの経済指標だけではわからない国の進歩を把握することができるようになっています。

英国国家統計局のウェルビーイングに関するダッシュボードに掲載されている項目は以下の通りです。
・個人のウェルビーイング(生活満足度、やりがい、幸福感、不安、精神的ウェルビーイング)
・人間関係
・健康(健康な生活への期待、障害、健康満足度、抑うつ傾向や不安)
・活動(失業率、職の満足度、余暇の満足度、ボランティア、芸術・文化活動、スポーツ)
・住んでいる場所(犯罪率、安心感、自然環境へのアクセス、地域での帰属意識、生活に必要なサービスへのアクセス、住居への満足度)
・個人の経済状態(低所得世帯の割合、世帯の資産、世帯収入、世帯収入への満足度、経済的困難)
・経済(可処分所得、公債、インフレ率)
・教育と技術(人的資本、ニート、資格を持たない人)
・政府への信頼(投票率、政府への信頼)
・環境(温室効果ガス、保護区、再利用エネルギー、家庭でのリサイクル)

これらの項目は、年次人口調査(年次)や財産・資産調査(2年に1度)、意見・ライフスタイル調査(月次)等の結果を取りまとめ、集計されています。

住民のウェルビーイングを高める、つまり、住民がより良い状態で暮らせるようにするということは、地方行政が行っている全ての政策の最終的な目標になり得るのではないでしょうか。日本でも、様々な行政活動の計画時点から「住民のウェルビーイングを向上させることができるか?」という視点を持ち、効果検証にも反映させることで、より住民のためとなる行政活動を行うことができるようになるのではないかと感じました。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/wellbeing/

                   ロンドン事務所 所長補佐 金子

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