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フィンランドの自治体における総合窓口

2011年06月20日  ,

日本では、住民サービス向上の観点から、行政サービスを一つの窓口で受けられる総合窓口を設置したり、設置を検討したりする自治体が増えている。フィンランドの自治体における総合窓口について紹介する。
 フィンランドでは、すべての自治体に1カ所の窓口のみで複数の業務に対応する総合窓口がある。(ここでいう総合窓口とは、 自治体のすべての業務を一つの窓口で取り扱うもので、住民がワンストップでサービスが受けられる窓口のことである)また、336の自治体のうち、141の自治体に市民サービス窓口(Citizen Service Office)がある。141の自治体に、176の市民サービス窓口がある。
 市民サービス窓口は、その自治体の業務だけではなく、他の自治体や国の業務、社会保険・福祉、税、雇用、経済開発等の公共サービスにも対応する窓口である。
 特に、2007年に「国民サービス法(Citizen Service Act)」が施行されて以降、住民サービス向上のため、自治体や国、社会保険事務所等の機関の情報を一つの窓口で市民に提供する市民サービス窓口が増加した。窓口は、市役所だけではなく、ショッピングセンターや図書館等、市民がアクセスしやすい場所に設置されており、担当者による直接的な窓口での対応だけではなく、電話やインターネットを通じての住民サービスも提供している。また、自治体が市民サービス窓口で住民に他の自治体のサービスを提供した場合、代わりに住民サービスを行った自治体に対してサービスに対する費用を請求することができる。市民サービス窓口の増加は、国の地方機関の廃止も要因の一つで、より良い住民サービス提供に向けて、窓口サービスの多角化が進められている。

※フィンランド地方自治体協会(Association of Finnish Local and Regional Authorities)への問い合わせによる。


国民全員に専用アカウントを付与

2011年02月15日  ,

2011年1月28日より、国民全員に専用アカウントを付与されることになり、国民は政府の決定事項や関連情報を電子媒体で受信することが可能となった。
この国民アカウントは政府関係機関と国民との安定したコミュニケーションの確立を目的に政府のITサービスセンターが運営するものである。国民は専用アカウントを通じて様々な政府機関からの情報を受信することが可能になる。さらに、この専用アカウントを通じて国民が政府関係機関に書類を提出したり詳細情報の提供を求めたりすることも可能となる。
この専用アカウントの使用料は無料で、サービス利用に必要な個人認証は個人のオンライン銀行の認証や電子証明カードで行われる。この国民アカウントにより政府の情報を個人アカウント一箇所に集約することが可能となる。
国民アカウントは国内コミュニケーションの電子化に向けた大きな事業の一つであり、国民は政府との情報交換をする選択肢を増やすことができる。個人電子アカウントを国民に付与することで、今までは紙ベースでの政府関係機関からの情報が、電子媒体で提供されることになる。
国民アカウントの作成により公共サービスの経費削減にもつながる。各政府関係機関が国民アカウントを共有することで、各政府関係機関独自にアカウントを作成する必要がなくなる。
当面の間、国民アカウントで利用可能な公共サービスは、バンタ市の福祉サービス情報、地方戸籍管理局における戸籍変更や雇用経済省の失業保険給付証明などである。今後国民アカウントで利用できる公共サービスの範囲を順次拡大する予定である。最終的には政府関係機関の情報がすべて国民アカウントを通じて提供される予定である。
この国民アカウントは社会保険庁、雇用経済省、地方戸籍管理局、戸籍登録センター、オウル市及びバンタ市の協力の下、ITサービスセンターが財務省の許可を受けて運営する。

【出典】フィンランド財務省ホームページ
http://www.vm.fi/vm/en/03_press_releases_and_speeches/01_press_releases/20110128Citize/name.jsp


フィンランドにおける地方財政の基礎的情報

2009年11月09日  ,

 2009年9月、フィンランド地方自治協議会は、地方財政について次のとおり報告している。
 それによれば、地方自治体の歳出規模は、38億ユーロとなっている。なおフィンランドの会計年度は、1月~12月である。

・地方自治体の歳出は、地方税、国からの補助金、手数料・料金収入等から賄われている。地方税収には、個人所得税、固定資産税、法人所得税(の地方還付分)があり、地方自治体は、個人所得税率を一定の範囲内で自由に決めることができる。なお個人所得税の平均税率は18.6%となっている。
・手数料・料金収入が、地方自治体の歳入の約4分の1を占めている。料金収入の大半は、水道光熱、廃棄物処理、公共交通等のサービスに係る料金として利用者から徴収されたものである。社会福祉および保健サービス支出の10%弱は、そのサービス利用者と患者負担分の料金収入によりカバーされている。教育費については、原則無償である。
・中央政府からの補助金は、地方自治体歳入の20%弱である。地方自治体への国からの補助金は、法律に基づいたものであり、それは地方自治体の財政を援助している。中央政府からの補助金制度はまた、地方自治体間で財政的な不平等が生まれないようにするためのもので、全国各地で平等なサービスを確実にする。

【出典】フィンランド地方自治体協議会のウェブサイト
http://www.kunnat.net/k_perussivu.asp?path=1;161;279;280;37561


フィンランドにおける地方自治体に係る法律と権限

2009年06月15日  ,

・フィンランドの地方自治体は、幅広い責務を負っている。自治体には自治の権限が与えられている。多くの責務を実行する法定義務がある。
・財務省の自治行政部(Department for Municipal Affairs)が、自治体の機能を管理する一般法を整備する責任を負っている。自治行政部の管理下にある法律は、次のとおり。
  -地方自治法 (Local Government Act)
  -地方自治体境界法 (Act on Local Authority Boundaries)
  -地方公務員雇用保障法 (Act on the Employment Security of Municipal Officeholders)
  -地方公務員年金法 (Act on Municipal Officeholders’ and Employees’ Pensions)
  -地方公務員交渉権法 (Act on the Bargaining Rights of Municipal Officeholders)
  -地方自治体雇用委員会法 (Act on the Commission for Local Authority Employers)
  -中央政府から地方政府への財政移転法 (Act on Central Government Transfers to Local Government)
  -地方自治体保証局法 (Act on the Municipal Guarantee Board)
  -ヘルシンキ首都圏評議会法 (Act on the Helsinki Metropolitan Area Council)
・各自治体が住民にサービスを提供するには特別法に基づいて行われる。フィンランドの自治体にとって最も重要な分野は、社会福祉・保健、教育・文化で、これらのサービスを保護する法律は、教育省や社会保健省の責任にある。
・地方自治体は、道路の維持・整備の責務も負う。また土地利用計画、建築法規、環境保護、廃棄物処理といった環境行政の分野の機能を実行する責務もある。自治体は、地方産業に係る多くの機能や消費者カウンセリングを行う責任がある。地方自治体はまた、選挙法により、国政や地方選挙の組織に対して協力体制を構築しなければならない。

【出典】フィンランド財務省のウェブサイトから
http://www.vm.fi/vm/en/15_muncipal_affairs/01_legislation/index.jsp


自治体職員について

2009年03月12日  ,

・フィンランドの地方自治体と市町村連合を合わせた職員数は、42万4千人。この国の総労働人口の19%にあたる。自治体職員の8割が、保健、教育、社会サービスに従事。今後数年間で、保健、社会サービスに従事する職員がさらに増える見込み。
・フィンランドの自治体においては、女性がその大多数を占めており、10人に2人が男性職員である。自治体職員の平均年齢は現在45.3歳で、比較的高い。
・今後数年間で1/3の職員が退職。地方自治体は、新たに多くの職員を採用する方針
・年間の人件費総額は、17.5億ユーロ。そのうち13.3億ユーロが給与費で、残りがその他の人件費。
・フィンランド地方自治体連盟、地方団体経営者委員会、地方自治体年金基金の団体が、職員雇用に関する共同プロジェクト「Local Jobs 2010」を開始。これは、ますます競争の激しい市場で有能なスタッフを集め、自治体の立場をより強化することを一つのねらいとしている。またこの共同プロジェクトの目的は、雇用の競争を促進し、より魅力的な自治体の雇用を生み出すこと。

【出典】フィンランド地方自治体連盟ウェブサイト
http://www.kunnat.net/k_perussivu.asp?path=1;161;279;280;37565


フィンランドにて全国統一地方選挙実施

2008年11月25日  ,

・2008年10月26日に、フィンランド(オーランド州除く)で地方議会選挙が実施される。フィンランドの地方選挙は、4年毎、10月の第4日曜日となっている。
・4年前の地方選挙以来、自治体の合併が進められており、今回フィンランド全土の332の自治体で選挙が行われる。(前回実施時には416の自治体で実施)
・今回は、初めてとなる電子投票を3つの自治体で実施。合計で約34000の住民が、投票所で電子的に投票を行う(選挙当日または事前に)。インターネットによる投票は、不可。
・自治体議会の議員定数は人口区分に従って定められており、地方自治法(1995年)によれば、議員の数は次のとおり。

人口区分           議員定数
2千以下           17人
2千1以上   4千以下   21人
4千1以上   8千以下   27人
8千1以上   1万5千以下 35人
1万5千1以上 3万以下   43人
3万1以上   6万以下   51人
6万1以上  12万以下   59人
12万1以上 25万以下   67人
25万1以上 40万以下   75人
40万を超える        85人

<参考>
・フィンランドの地方自治体の行政区分には、ラーニ(県レベル)とクンタ(市町村)が存在する。ラーニは国の行政単位であって、自治体ではないので、基本的には国と市町村(クンタ)の二層制。それゆえフィンランド本土では、州(県)レベルでの議会はなく、国会と市(町村)議会の二つのみが、直接選挙による議員選出となる。

【出典】
フィンランド法務省のサイトから

http://www.vaalit.fi/15522.htm

http://www.om.fi/en/Etusivu/Ajankohtaista/Uutiset/1222680429473


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