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CLAIRメールマガジン vol.310(2022年12月9日)=「英米の「ブラックキャピタル」における地域間連携の取組~「Brixton(ロンドン)×Harlem(ニューヨーク)」~」

2022年12月09日 

ロンドン南部のランベス区に所在するブリクストンは、アフリカ系・カリブ系の移民が多く住む街として「ロンドンの黒人文化の中心地」とも呼ばれ、異国情緒あふれる雰囲気を放つ街となっています。デヴィッド・ボウイの出身地としても知られ、多くの観光客も訪れる人気スポットです。

ブリクストンは、2021年6月、ともに地域住民の人種的ルーツから派生した独自の食・アート・文化等が繁栄し定着してきたという社会的・文化的な共通点を持っていることから、米ニューヨークのハーレムと地域間連携協定を締結しました。この連携によって、両地域がともに「平等」、「包摂性」、「社会正義」等の原則を核とする地域活性化の理念を共有し、歴史や社会的不平等、犯罪等の共通の社会課題の解決に向けた知識・経験の交換を行うことを目的として掲げています。

2022年夏には、ブリクストンとハーレムの両地域の連携及びその共通点を祝福することを目的に、ブリクストンにて5日間の祭典「Brixton×Harlem Festival」を開催しました。この祭典では、ブリクストンとハーレムのビール醸造所が共同し、ご当地ビールをお互いの地域のパブやバーで頼むことのできる「ビールエクスチェンジ」プロジェクトが行われました。また、「黒人女性の活躍推進」、「黒人音楽の100年の歴史」等のテーマで、ブリクストン内の関連する地区を巡るウォーキングツアーも実施され、多くの来場者に対し、黒人文化及びブリクストンの歴史とその地域の魅力を発信しました。

ここ数年、黒人差別意識を背景とする暴力問題等によって、コミュニティ間の対立や分裂の危機が深刻となっていますが、こうした共通の課題に立ち向かう地域同士が手を取り合い、双方の地域における経済的・社会的価値の向上に向けた魅力発信を行うことで、その発信力・影響力に相乗効果が見込まれ、国内外に向けてより大きなインパクトを与えることが可能となると思われます。今後も、両地域が自らのアイデンティティにプライドを持つことで、その魅力が地域住民のみならず世界に浸透していくことが期待されています。

詳細については、こちらのレポートをご覧ください。
(https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/brixtonharlem/)

ロンドン事務所 所長補佐 中村

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