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CLAIRメールマガジン vol.308(2022年11月11日)=「ロンドン・トラファルガー広場の新しいモニュメントと植民地時代の歴史を再認識する英国の動き」

2022年11月18日 

近年、とりわけ2020年の米国でのジョージ・フロイド事件をきっかけに始まったBlack Lives Matterムーブメントにより、世界中で黒人の人権問題が大きく注目されていることに関連して、植民地時代及び黒人の歴史もあらためて認識されるようになりましたが、英国もその例外ではありません。

先月(2022年9月)、ロンドン事務所のすぐ近くにあるトラファルガー広場に設置されていたモニュメントが新しい像に建て替えられました。今回の新しい像は、「アンテロープ」と名付けられた、英国の植民地支配と戦ったマラウイのバプテスト説教者でもあり汎アフリカ主義者であるジョン・チリンブウェ(及び宣教師ジョン・チョーリー)の像です。

そして、英国において1980年代から始まった「黒人歴史月間」が、今年はこの10月から「変化の時:言葉ではなく行動」をテーマとして始まりました。(なお、米国においては1970年代から始まっています。)自治体もこれに積極的に関わっており、例えば、ロンドンのケンジントン&チェルシー区の場合、関連イベントに対して1件あたり1,000ポンド、総額15,000ポンドを交付するという補助スキームを設けて支援しています。

また、植民地支配の歴史の再認識を促すため、博物館においても積極的な取り組みが進められています。例えば、ロンドンの大英博物館においては、奴隷貿易で富を築き大英博物館設立のきっかけとなる元々のコレクションを寄贈したハンス・スローン卿の胸像が移設され、今では大英帝国や奴隷制との文脈で展示されています。

ロンドンの街中を歩くと、行き交う人々の多様性に驚かされるとともに、英国社会そのものが世界中からの移民で構成されていることを身をもって感じます。英国における多様性を育んできた歴史、そしてこの多様性が育んでいく未来について、自治体がどのように関わっていくのか、今後も注目していきたいと思います。

詳細については、こちらのレポートをご覧ください。
(https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/antelope/)

ロンドン事務所 所長補佐 西川

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