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CLAIRメールマガジン vol.277(2021年7月9日)=英国の公共図書館におけるビジネス支援

2021年07月09日 

英国の公共図書館では、地域の情報ハブとして、起業家や中小企業に対するビジネス支援サービスを展開しています。

「ビジネス・知的財産センター」は、ビジネスアイデアを持つすべての人に開かれた場として、2006年より英国内の図書館内に設置され、現在では、19か所に設置されています。同センターでは、特許情報や各国の商業データベースなどが閲覧できるほか、無料または低価格で市場調査の依頼をすることができます。また、ビジネス支援専門の研修を受けた職員による相談受付のほか、起業直後の経営者を対象としたワークショップなどが提供されています。さらに、過去に同センターを利用した起業家などから指導を受けることのできるメンター制度も導入されており、多くの専門家、経営者から実践的なアドバイスを受けることができます。

同センターでは、過去3年間(2016-2018年)で、12,000を超える新規ビジネスの創業を支援しています。支援を受けて起業した人の半数以上は女性、約3分の1は黒人やアジア人、少数民族出身者となっており、多様な起業家を輩出してきたことがわかります。
新型コロナウイルスの影響により、多くの事業者が困難な状況に立たされた中においても、事業の変革や成長を推進することを目指すプログラム「Reset. Restart」を開始し、事業者向けの無料ウェビナーを開催するなど、コロナ禍における地域のビジネス支援にも大きく貢献しています。

2020年、同センターの拡充に向けて、英政府から1,300万ポンド(約20億円)の資金提供が行われることが発表されました。これを受けて、現在、都市中心部の図書館に集中して設置されているところ、2023年までにイングランド全土で100以上の図書館へ拡大することが決定されました。中小企業や起業家が必要な支援や情報にアクセスしやすい社会の実現に向けて、図書館が地域のなかで果たす役割が今後より一層重要になるものと期待されています。

ロンドン事務所 所長補佐 中村

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