カテゴリー別アーカイブ: 環境・エネルギー

政府が「2050年エネルギー戦略」を発表

2011年04月15日 

デンマーク政府は本日(2011年2月24日)、2050年までに国がどのように石炭、石油及びガスに依存せず、温室効果ガスを飛躍的に削減していくかをまとめた「2050年エネルギー戦略」を公表した。
 このエネルギー戦略では、化石燃料の産業利用を2020年までに2009年比で2割削減する多くの提案が含まれており、2050年までに完全に化石燃料から脱却することを目指している。
 気候・エネルギー省大臣は、デンマークはこのような詳細で野心的な戦略を提示する世界で初めての国になると述べた。
 戦略では、風力、バイオマス、バイオガスといった再生可能エネルギーを大幅に増やしていくことを盛り込んでいる。
 2020年までに風力発電だけで全体電力消費量の40%以上をカバーし(現在は20%)、再生可能エネルギーで全体の60%以上を賄う計画だ。同時にエネルギー効率を高める努力を強化することで2020年までに総エネルギー消費量を2006年比で6%減らす。
 企業には2020年までに総収益成長率の0.1%相当の追加負担が生じる見込みだ。
 大臣はグリーンエネルギーへの転換に係るコストは化石燃料費の今後の上昇を考慮して判断されるべきであるとして次のように強調した。「エネルギー効率を高めるための大規模な投資と再生可能エネルギーの利用拡大がタダで出来ると考えている者など誰もいない。しかし化石燃料に今後も依存し続けることは、あらゆる兆候が示しているように将来かえって高くつくことになる。次のステップは議会でこの政府提案を審議してもらうことであり、広範な合意が得られるものと期待している。」
 政府提案には次の内容が盛り込まれている。
・バイオマス及びバイオガス
・風力
・エネルギー効率
・研究、開発及び実証

【出典】気候・エネルギー省ウェブサイト(2011年2月24日)
 http://www.kemin.dk/en-us/newsandpress/news/2011/sider/energystrategy2050.aspx


グリーンエネルギーは税務省の頭痛のタネ-グリーンエネルギーの使用量が増加に伴い、エネルギー税収が減少-

2010年12月15日 

デンマーク・税務省によると、グリーン・イニシアティブに基づく税収の減少により900億クローネの経済的損失が生じるという。これを受けてPoulsen税務大臣は、エネルギー税収の減少と北海の石油資源からの収入減が経済に与える影響について、包括的な分析を実施する
「現行税制度の安定性を確認し、化石燃料が枯渇した場合起こり得ることについて検証する必要がある」とポールセン氏は述べた。
昨年政府は340億クローネのエネルギー税を得た。また、自動車税が236億クローネ、北海におけるデンマーク石油プロジェクトから246億クローネである。デンマークでは風力発電などグリーンエネルギーが大きな割合を占めており、電気自動車は2015年まで登録料を免除されているが、Poulsen氏は2020年まで税収の大幅な減少はないと見込んでいる。しかし、もし電気自動車の販売台数が大幅に上昇した場合、通常の車にかかる登録税の132億クローネを失うことになるだろう。
政治家はグリーンエネルギーにより生じる穴を埋めるため、新たな課税を導入する必要があると専門家は指摘し、その例として渋滞税、電気自動車のバッテリーに対する課税、新しいグリーンエネルギー税、農業で発生するCO2に対する課税を挙げている。
税務大臣は調査結果を来年までにまとめるとしている。

【出典】コペンハーゲンポストのウェブサイト
http://www.cphpost.dk/news/politics/90-politics/50604-green-energy-proves-headache-for-taxman.html
現行税制度の安定性を確認し、化石燃料が枯渇した場合起こり得ることについて検証する必要がある」とポールセン氏は述べた。


世界最大級の洋上風力発電所

2010年09月15日 

デンマーク議会は、40万世帯に環境に優しい電力を供給する風力発電所をアンホルト(Anholt)島沖に建設する計画を許可した。
デンマーク議会は、アンホルト洋上風力発電所の建設と運営について、DONG Energy社からの応札の受入れをほぼ満場一致で決定した。
入札結果に基づき、Lykke Friis気候・エネルギー大臣は現在のエネルギー政策を支持する各政党と、洋上風力発電所の建設に関する将来モデルの分析を開始することについて合意した。この調査の目的は、将来の投資に向けた土台を築き、消費者に可能な限り安価な電力を提供することである。
400メガワット発電可能なこの発電施設は、デンマーク最大の洋上風力発電所で、2012年から2013年には、40万世帯の電力消費量に相当する環境に優しい電力を供給できる予定である。また同時に、このプロジェクトは雇用を創出し、最大8000人が建設期間中に職を得ることができる。さらに、デンマークは2020年までに再生可能エネルギーの割合を30%にするという目標に、1%近づくことになる。
唯一の応札者であったDONG Energy社は、発電施設の寿命の約半分の期間を、1kwあたり1.051デンマーク・クローネで落札した。残りの期間は、補助金などはなく市場価格で販売される。これは現在建設中の風力発電施設Rødsand IIより高額であるが、隣国の同様の風力発電施設と同等の価格である。
また、アンホルト洋上風力発電所は、消費者にとって最終的には安い買い物となるだろう。年間の補助金は1kiw当たり0.01デンマーク・クローネの見込みで、平均的な家庭(4000kw使用)に換算すると年間44デンマーク・クローネとなる。しかし、この発電所で生産される電力により、電力価格が抑制され補助金分は相殺されると考えられている。
気候・エネルギー大臣は、電気・天然ガスの輸送システムを運営する国営会社であるEnerginet.dkに対し、風力発電所とアンホルト島を海底ケーブルで結び、電力網に接続するよう指示した。これにより、島の140人の住民は軽油発電機に替わり、環境に優しい電気を利用することができる。このプロジェクトは、化石燃料からの脱却を目指す国のエネルギー政策に基づくものであり、さらに地域環境の改善に貢献すると考えられる。

【出典】
デンマーク 気候・エネルギー省ウェブサイト
http://www.kemin.dk/en-us/newsandpress/news/2010/sider/greenlightforoneoftheworldslargestoffshorewindparks.aspx


クリーン・テクノロジー先進都市を目指すコペンハーゲン市

2010年08月01日 

コペンハーゲン市は、クリーン・テクノロジー先進都市を目指す計画の一部として、今後3年半の間に110億デンマーク・クローネ(約1683億円)の土木関係予算をグリーン投資に支出する予定である、と全国紙のBerlingske Tidendeが伝えた。
Frank Jensenコペンハーゲン市長は、多くのヨーロッパの首都が環境計画を作成する中で、環境関連ビジネスを巡る競争は世界的に厳しい状況であることを認めた上で、次のように述べた。
「既にコペンハーゲン市は、2025年までにカーボン・ニュートラルを達成するために必要な支援策を設定している。今回は、環境都市としてのコペンハーゲンに対する世界的な認識を高めるため、この目標と来年の包括的土木プロジェクトを結びつけたいと考えた。またこれにより、雇用を創出し、企業の関心を集め、コペンハーゲンを「グリーン・バレー」にすることが可能であると考えている。
2009年にコペンハーゲンで開催された気候変動枠組条約締結国会議(COP15)は残念な結果に終わったが、コペンハーゲンの環境都市としてのイメージは損なわれていない。むしろ、コペンハーゲンが供給率97%の地域暖房やカーボン・ニュートラルという目標を設定した方法について、大きな関心がもたれている。これをフルに活用することにより、多くの好意を雇用と成長に転換することが可能である。
コペンハーゲン市はまた、近隣の地方自治体及びスウェーデン南部の地方自治体に取組に参加するよう働きかけている。さらに、大学、企業、地方自治体間のマッチングに対し投資する用意も出来ている。
コペンハーゲン市を新しいグリーン技術が開発され試験される場所とする、これが目標である。」
コペンハーゲン市の新グリーン戦略は、9月29日、30日に市が主催するWorld Climate Solutionsで発表される。

【出典】デンマーク公式ウエブサイト(Denmark.dk)
http://www.denmark.dk/en/servicemenu/News/Environment-Energy-Climate-News/CopenhagenAimsToBeALeadingCleantechCapital.htm


デンマークが環境技術国として第1位となる

2009年11月23日 

 Cleantech Groupのウェブサイトで、Shawn Lesser氏(Sustainable World Capital 代表)が2009年の環境技術国トップ10を発表した。
 この格付けには、政府の主導性や施策、大規模投資の枠組み、企業の技術革新や文化的社会的要因が考慮され、この格付けでデンマークは第1位となった。
 デンマークが1位となった理由は、デンマークが脱化石燃料100パーセントという目標を掲げただけでなく、環境技術で先進的な役割を担っていることが考えられる。また、風力技術発祥の地であるデンマークは、ヨーロッパ最大のエネルギー技術輸出国であり、ATP年金基金、AP年金やDONGエネルギーからの資金援助もある。またデンマークでは公共部門と民間部門の連携により知識の共有が促進され、起業を推進する雰囲気もあるため、環境技術モデル国としてふさわしいと考えられている。
 同氏の研究では歴史的な見解は含まれていないが、北ヨーロッパの小国であったデンマークは、1973年のオイルショックの時に外国の石油と石炭に依存することの危険性を突如認識させられてから、化石燃料依存からの脱却に長い間着実に取り組んできたことを忘れてはいけない。
 北海のデンマーク領では石油や天然ガスが産出されているが、その資源は時限的なものであり、国内で再生可能エネルギーを活用してエネルギーを自給自足でまかなうという政府の長期目標に影響を与えるものではなかった。この目標にさらに必要なものは、エネルギー利用を最大限に効率化させ、二酸化炭素排出を最小限に抑えることである。
(環境技術国 上位10位)
1. Denmark
2. Germany
3. Sweden
4. United Kingdom
5. Israel
6. Switzerland
7. United States
8. United Arab Emirates
9. China
10. Canada

【出典】デンマーク政府ウェーブページ
http://www.denmark.dk/en/servicemenu/News/Environment-Energy-Climate-News/DenmarkTheWorldsTopCleantechCountry.htm?wbc_purpose=B&WBCMODE=presen


デンマーク環境政策

2009年06月29日 

昨年度の11月に首相より「Green Growth Vision」(環境成長指針)が発表された。
(指針概要) 
デンマークを環境技術の中心地へと変貌させることで多数の雇用創出を図ることを目的とする。目的の主なものとしては、再生可能エネルギーの開発、エネルギー効率の高い技術を持つ産業の育成、長期間安定してエネルギーを生み出す建造物(住宅など)の建築、環境に配慮した交通システムの研究、環境に配慮した飲食産業の育成があげられる。
以下その指針に基づいた環境に配慮した政策について報告する。
1 環境交通センターの設置(2009.7.7)
 ・環境に配慮した交通技術の向上を目的として交通省が設置。
・自動車排気ガスの二酸化炭素排出量の減少や自動車数の断続的な増加などの環境問題への解決の糸口となるさまざまな計画について検証を行う。
・二酸化炭素排出量を減少させるため、特定の地域において、タクシーへのエネルギー効率の規制、バンのエネルギー表示や空気力学を応用したトラックの導入などを行う。
・民間企業や地方自治体と協力してエネルギー効率の高い交通に係る大規模な調査を実施する。
2 デンマーク最大規模の沖合風力発電所設置準備(2009-5.5)
 ・2012年に完成予定であるこの風力発電施設では年間400メガワット(約40万世帯分)の発電能力を持つ。
 ・環境大臣はこの風力発電施設について「化石燃料に依存しないことを目標とした政府の指針を現実的なものとする大きな一歩であり、再生可能エネルギーの開発と二酸化炭素削減という目標に向けた重要な政策である」と述べた。
 ・この風力発電所の入札に先立ち、Energinet.dk(デンマークの通信システムオペレーター)が事前に海底地勢調査を行い、また地域住民集会も実施される。
 ・なお、Energinet.dkは海底の地下鉄の設置と風力発電所と地上の発電所の接続を担当する。
・入札期限は2010年4月7日である。
・デンマークでは現在8基の沖合風力発電施設があり、その総発電能力は424メガワットである。

(関係リンク先)
デンマーク外務省ホームページ
http://www.investindk.com/visNyhed.asp?artikelID=22213
http://www.investindk.com/visNyhed.asp?artikelID=20734
デンマーク環境省ホームページ
http://kemin.dk/en-us/newsandpress/news/sider/denmarkslargestoffshorewindfarmreadyfortender.aspx


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