カテゴリー別アーカイブ: 産業・経済

移民制度の改正

2011年01月15日 

オーストリア政府は、これまでの移民政策を見直し、新たな移民受け入れ制度を導入した。新たな赤白赤カード(国旗にちなんでいる)の2011年7月の導入以後は、EU域外からの移民に関して、人数による制限は廃止され、特別な基準による制限が行われることとなる。
2010年12月9日に新しい制度について説明を行った内務大臣によれば、移民の職業に関連する資格を考慮していなかったこれまでの柔軟性のない人数制限システムは、基準に基づく移民受け入れ制度へと改正される。
赤白赤カードには、ポイントシステムが適用される。この赤白赤カード保持者は、オーストリアでの居住権と労働市場へのアクセス権を持つこととなる。一定のポイントを取得するために満たさなければならない基準は、職業資格、教育、言語能力等である。これらの基準が満たされれば、移民としてオーストリア国内に居住し、職を得ることができる。過去の人数制限による移民制度は適用されないこととなり、オーストリアの居住に係る制度全体は、この新しい規則に従って再構築される。3つのグループがこの赤白赤カードを申請することができる。まず、高度熟練労働者(医師やIT技術を持つ者)、労働力が不足している分野における熟練労働者(看護士、スズ細工職人、労働力が不足しているかどうかについては、労働需要に応じて個別に判断される)、また国内の労働力で補充することのできない高度熟練労働者がこの3つのグループである。
加えて、「赤白赤カードプラス」も導入される。このカードは、労働市場へのアクセス及び永住権を保障し、移民者の家族に対して交付される。加えて、過去に赤白赤カードや又はEU青カードを保持していた者に対しても交付される。
オーストリアへ移住する高度熟練労働者に対しては、オーストリア入国前にはドイツ語の知識は求められない。一方、その家族に対しては異なる規制が当てはめられることとなり、上記3グループのうちの1つ目の家族はドイツ語の能力を問われないが、2つ目及び3つ目のグループの家族に対しては、最低限、基本的なドイツ語の能力が求められる。

【出典】オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6892/default.aspx#id41873


アルプス地域における集客のための共同キャンペーン

2010年10月01日 

「大アルプス地域」を設定することにより、当該地域の観光産業は世界的により激しくなってくる観光客の集客競争に対応しようとしている。
 2010年9月13日、各国から観光担当の代表者(政治家)が集まる会議において「私たちはより大きな市場を創設しなければならない。これにより全ての人々の商機を増加させなければならない。」と経済担当相は強調した。この会議は、「アルプス・プロローグ」というオーストリア、ドイツ、イタリア、南チロル、リヒテンシュタインから構成される会議である。

 同経済担当相はまた、共通の戦略が必要だとも話した。今次の経済危機の渦中にあっても、オーストリアはなんとか観光業のシェアを維持し、部分的には拡大させてもいる。しかし全世界的な競争によってそれが難しくなりつつある。経済担当相は、昨今オーストリアよりも力強い経済成長を記録している国の例としてアメリカについて言及した。

 オーストリアは、経済担当相が言及した、「都市と文化」、「ドナウ川と湖」、「アルプス山脈」という3つの固有な観光資源によって有利な立場に立つことができる。またこれらの観光資源に、より付加価値をもたせることに注意が注がれる必要がある。アルプス地域の国々は、マーケティングにおける共同参画に加えて、例えば観光客が同地域でより長く滞在してくれるようにするために共同で取り組みを行う予定である。各国の担当者は、今後定期的に会議を開催することとなっている。アルプス観光の振興に向けて、「the Alps(アルプス地域の国々)」が新しいロビー活動の舞台になるだろう。

【出典】オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6892/default.aspx#id40748


銀行税の導入を検討

2010年03月01日 

 オーストリア連邦政府は近く銀行税を導入することを検討している。これは、2010年2月22日に行われた連邦財務相を議長とする銀行首脳会議(サミット)の結果を受けたものである。同サミットには、金融担当相のほかオーストリアの大手銀行頭取たちが参加し、オーストリア国立銀行が提示した調査結果に基づき議論が行われた。

 検討中の銀行税について、まだ詳細は決まっていないが、導入は2011年以降になる見込みである。連邦財務相は同銀行税による歳入は約5億ユーロになるとの試算を発表した。また税率については、連結財務諸表上の額から様々な控除を差し引いた後の課税標準に対し、0.07%から0.1%が適用される見込みである。連邦財務相は、銀行に対するこのような一体課税は十分正当化されると強調している。

 連邦財務相及び金融担当相双方ともに、同銀行税が顧客手数料に上乗せされることにはならないと述べている。顧客手数料への上乗せを防ぐため、銀行手数料は厳格に調査されることとなる。加えて、銀行間の競争が銀行にかかる負担の問題を解決するだろうと連邦財務相は説明している。財務相を議長とする新たな検討部会の初会合が2010年3月8日に開催されることとなっており、政府の閣僚及び各銀行の代表者から構成される同部会において政府に対する専門家の意見、答申が取りまとめられる予定である。

 2010年2月24日国会の一般討論において、金融担当相は、銀行も含めた社会における全ての法人・団体が公平に国家歳入に貢献しなければならない必要性を繰り返した。同相によれば、デリバティブ、オフ・バランスシート取引等の投機的金融派生商品が銀行税の課税対象となる見込みである。加えて、同税の導入はローン契約にかかる手数料の廃止と同時に実施することを金融担当相は強く求めている。この同時実施により、民間企業等への財政負担を軽減できると見られており、毎年1億5千万ユーロもの歳入をあげているローン契約にかかる手数料を廃止することでwin-winの状況になると述べた。

【出典】オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6892/default.aspx#id38670


金融危機のオーストリアでの影響等

2009年03月12日 

 オーストリア国内での失業率が急上昇している。これまで5%前後で推移していた失業率は、2009年の1月末の時点で8.3%まで上昇した。
 これは先月比の12.2%増となり、国内では301,529人が失業者として登録されている。この傾向は特に若い世代で顕著であり、若年労働層の22.9%が失業状態にある。
 これまでプラス成長を続けてきた国内経済も、8年ぶりとなるマイナス成長が見込まれている。国内需要の減少と、輸出相手国内の需要の減少を理由として急激に輸出額が落ち込んだ結果として、オーストリア国内の経済調査機関「WIFO(オーストリア経済調査研究所)」の調査では、2009年のGDPは0.5%のマイナス成長となる見込み(2008年12月時点での発表)、また1月19日に発表された欧州委員会の調査結果によると、前年度比でマイナス1.2%となる見込みということである。

【出典】
オーストリア連邦政府ウェブサイト
http://www.bka.gv.at/site/6632/default.aspx#id33669
在オーストリア日本国大使館
http://www.at.emb-japan.go.jp/jp/index.html

【参考】
CIA The World Factbook https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/
Budapest Business Journal
http://bbjonline.hu/
WIFO(オーストリア経済調査研究所)
http://www.wifo.ac.at/


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