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英国

新型コロナ ワクチン接種体験記

2021年02月14日 

2月9日の昼、NHS(国民保健サービス)のかかりつけ病院から、「あなたは新型コロナワクチン接種の要件を満たしているので、11日に病院に来てください」という電話がかかってきました。「英国の新型コロナワクチンの接種について」の記事でも触れられているとおり、英国政府はCOVID-19による死亡率が高い順に、「介護施設の入居者とそこで働く職員」「80歳以上のすべての人々と最前線の医療従事者および社会福祉施設職員」といったグループ分けを行っており、優先度が高い人からワクチン接種を進めているところです。説明はありませんでしたが、年齢を考慮すると、私は「指定する疾患のある16〜65歳の成人」に該当するようで、ワクチン接種の順番が回ってきたということになります。すこし複雑な心境ですが、一刻も早いCOVID-19の終息に貢献すべく、ワクチンの接種を受けることにしました。
ワクチンの接種は、地域の医療機関や公共施設に設けられた特設会場で受けることができます。今回私が接種を受けるのは、近所の診療所です。電話確認のあと、予約情報(日付と時間)が携帯電話のSMS(ショートメッセージ)に送られてきました。もし事情によりキャンセルが必要な場合も、メッセージへの返信だけで行うことができます。

11日の14時、自宅から歩いて10分ほどのところにある診療所に行きました。診療所の外には接種を受ける人が数人並んでいましたが、10分単位で予約の時間を区切っていることから、それほど列は長くありませんでした。ソーシャルディスタンスを保って並び、看護師から順番に問診(熱やせきなどの症状はないか、家族にコロナウイルス陽性者はいないか、等)を受け、診療所に招き入れられます。接種を受ける人同士の接触を最小限にするため、一家族ずつ入れ替わりで入ります。診察室に通されると、本人確認とアレルギーなどの情報について聞き取りが行われ、ワクチンに関する説明と、接種に関する同意を行います。接種後は、受けたワクチンの種類と接種日を記載したカードと、ワクチンに関する注意事項を記載した書類を受け取り、会場を出ます。所要時間は20分ほどでした。私の場合、副反応は少し発熱があった程度です。(資料によれば、発熱は10人に1人程度の頻度で発生する副反応のようです。)なお、ワクチンの接種は2回行われることになっており、2回目の接種のアポイントはNHSのウェブサイトを通じてオンラインで行うことができます。私の2回目の接種は4月末になる予定です。全体を通じて、非常にスムーズかつ安全にワクチン接種を受けることができました。

COVID-19により10万人を越える死者を出した英国として、これ以上の感染拡大を防ぐためのワクチンの拡充は急務であり、政府は2月中旬に「最も脆弱なグループの全員に1回目のワクチン接種を行う」ことを目標に定めました。健康上の理由により外出できない人への訪問接種や、高齢者向けにタクシーを活用した接種会場までの無料送迎、またワクチン接種への医療ボランティアの動員など、英国は社会的リソースを駆使したワクチン接種の拡大に全力を挙げています。この取り組みが功を奏し、一刻も早い経済の立て直しが図れることを祈るばかりです。

(所長補佐 濱本)

 

写真:診療所前でワクチン接種を待つ人々と、ワクチン接種を証明するカード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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