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調査・研究

スピーカーシリーズ

How to tackle the requests from the dispatched (派遣元からの要請にどう答えるか)

2016年10月24日 

2016年度第2回スピーカーシリーズ

How to tackle the requests from the dispatched
(派遣元からの要請にどう答えるか)

2016年10月5日(水)10:00~11:30

講師:原田 豊 氏

  (Japan Europe Business Support Ltd代表、JETROシニアアドバイザー(対日投資))

於:クレアロンドン事務所 会議室

 2016年度第2回スピーカーシリーズとしまして、Japan Europe Business Support Ltd代表であり、またJETROロンドンにおいて、対日投資に関するアドバイザーを長年務めていらっしゃる原田豊氏をお招きし、日本の自治体からクレアロンドン事務所に寄せられる要望を念頭に、貿易の基本的な仕組みと、近年の投資・貿易を巡る日英の動向についてお話を伺いました。

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○輸出
輸出手続きの流れ(契約・通関・輸送・決済)

○マーケティング
・英国や欧州で展開したい県産品等がある場合、始めに検討しなくてはならないことは4点ある。
①英文パンフレットの有無
②他のものと差別化できる商品であること
③品質・価格ともに国際競争力のある商品であるか否か
④納期を守れること

海外で展開したいという希望があっても、①英文の説明書やパンフレットを作成していない、ということはよくみられることである。また、関税・輸送など、輸出にはかなり費用がかかるので、②現地の商品と差別化でき、少々価格が高くても購入したいと思わせる商品である必要がある。例えば、ゆずなどは欧州でも定着してきており輸出商品として順調であるが、他の生鮮食品(たとえばいちごなど)は、安価な現地・近郊産と比較し勝負ができる商品であることは難しいことが多い。同様に、例えば安価な中国製などの類似品と比べ、③品質・価格が欧州で受け入れられるものであるかも慎重に考慮しなくてはならない。さらに、これらを満たしても、生産・輸出手続きを含め④納期が守れるかどうかを確認する必要がある。

マーケティングの第二段階として、現地見本市や展示会への出展を行い、現地の反応を確かめるのがよい。出展する見本市・展示会は目的にかなった(商品目的にかなったバイヤーが見つかる)ところを選ぶ必要がある。
JETROホームページでは、世界各地の様々な見本市・展示会情報を公開しており、地域・業種を絞り込み検索することができる。
https://www.jetro.go.jp/j-messe/
 
○契約・輸出入手続き
 見本市などで提携先やバイヤーが見つかり、海外展開することがきまったら、いよいよ輸出契約である。輸出販売先との契約は、エージェント(各業種の専門商社)を通じて行われることが多いが、直接契約もできなくはない。ただし、直接契約は事務が非常に繁雑になる。契約の中で、数量・納期・支払方法/期限等を定める。
 貿易にかかる各国制度、規制、手続き等については、「ジェトロ貿易ハンドブック」に詳しいので、参照されたい。(販売品)
https://www.jetro.go.jp/publications/jetro/d3f6ff676ba76bca.html

○英国進出
 進出計画の策定、国内での予備調査・現地調査(フィージビリティ)等を経て、いよいよ現地法人設立となる。現地事情に詳しい現地の企業との合弁会社設立という方法もよく取られている。
 会社の設立にあたっては、Companies House(https://www.gov.uk/government/organisations/companies-house)への登録が必要となる。Companies Houseには、英国内全ての企業が登録されており、各企業情報もオンラインで公開されている。登録には、(英国支店を設立する場合)日本本社の決算情報など、具体的な経営状況の登録が求められる。一方で、1ポンドからでも会社の設立は可能で、(日本は会社を資本金で判断することが多いのに対し)資本金よりも内容で判断されるため、資本金の少ない会社でも成功している事例は多い。
 英国での会社設立にあたっては、英国国際貿易省(DIT, Department for International Trade)のInvest UKチームがサポートしてくれる。DITは今年7月、メイ政権設立前に組織された。それまでは貿易投資省(UKTI, UK Trade & Investment)という、日本でいう外務省と経産省の2省に所属する組織であったが、7月の改編でDITは経産省のみに属する組織となった。
 また、ロンドンにおいては、海外からロンドンへの観光・投資・教育等を担うLondon & Partners(http://www.londonandpartners.com/)が会社設立を手厚くサポートしてくれる。半官半民の機関で、市場調査、パートナー探し等のサポートが得られる。サービスは一部有料。

○日本への企業誘致(Invest Japan)
 日本への企業誘致は安部政権の成長戦略の一環であるが、新しい考えではなく、2000年代前半の小泉政権の時に、海外からの観光促進と共に持ちあがった。会社法も外国企業が日本に参入しやすいものに変わり、JETROでも対日投資支援サービスを行っている。ただし、JETROのサービスは、本国で1年以上の運営実績のある法人が対象となる。MIPRO((一財)対日貿易投資交流促進協会 http://www.mipro.or.jp/)では、個人で起業したい人へのサービスも行っている。
 また、2014年度から、日本各地で国家戦略特区が定められ、海外からの投資を含めた規制緩和や生活サポートが行われている地域もある。特区に定められていなくても、地方自治体の独自の試みとして、地方税上の優遇や免税を行っている自治体もある。
なお、日本における海外からの直接投資はGDP比3%台であり、2020年までに5%台とすることを目標としている。一方、英国における海外からの直接投資はGDP比50%に近い

○輸入
 日本への輸入については、地場産業の妨げになる可能性もあるので、日本政府からの積極的な支援は行われていない。(英国においても同様。)英国から日本に輸出する場合は、DIT(国際貿易省)からのサポートが受けられる。DIT Japanは商品群別に担当が分かれており、本省だけでなく英国の地方出先機関でもサポートを行っている。

【質問事項】
○英国等海外の企業が日本でビジネス展開を考える場合、進出先地域として決め手になるものは何か
→業種の集積(クラスター)地域である、顧客に近い、インフラが整っている、などがある。JETROが相談を受ける企業の中には、あらかじめ進出したい地域を念頭に置いている場合もある。JETROからは、追加的に地域情報を提供する場合もある。

○英国のビザ取得について
→起業は簡単に行えるが、起業とビザ取得とは直接関わらない。EU離脱で制度が変わるかもしれないが、基本的にビザについては厳しいままと思われる。
英国での起業と同時にビザ取得は難しいため、あらかじめ現地パートナー企業を通じてビザの手配をし、それから起業を行うのが一般的といえる。

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