職員を対象とした研修の一環として、2025年9月15日~17日の間、ワイア・フォレスト・ディストリクト・カウンシル(Wyre Forest District Council。以下、「WFDC」という。)を訪問した。同自治体はイングランド・ West Midlands地方のWorcestershire州北西部に位置する人口約10万人、面積約195平方キロメートルのまちである。今回の研修は、同自治体の業務を視察することで、職員の英国の地方自治体に関する知見を深めるとともに、職員の派遣元自治体をはじめ、日本の地方自治体の業務の参考となる情報を収集することを目的に実施した。
【9/15 Tour of Stourport and Bewdley】
- WFDCに位置するKidderminsterは、かつてはカーペットが一大産業であり、これにより栄えてきた歴史を持つ。しかし、近年は中国製やインド製の製品に淘汰され、かつては多数あったカーペット工場は大きく減少し、現在はいくつか存在しているのみとなってしまった。旧カーペット工場は別の工場やコミュニティスペースなどにリノベーションされ、街の至る所で確認することができる。
〇 Stourport
- Stourportは、運河網上の内陸港の一つであった。かつては運河を利用した製品の輸送拠点として栄え、主にBirminghamやBlack Country(※)まで製品を輸送していた。ボートヤードは河川より高い位置に作られ、ヤードを開門することでヤード内の水位を下げ、河川に着水するような仕組みになっている。現在もレジャーとしての小さな遊覧船や、宿泊用の船が存在している。自然豊かで風光明媚な場所であり、特に夏を中心に休日は地元住民の憩いの場となっている。Stourportの船着場エリアは主に無給のボランティアで構成される慈善団体が管理している。
※Black Countryとは、イングランド中部、Birminghamの西側地域の石炭採掘・製鉄・工業地域のことを指す。地面や空気が石炭や煤(すす)で黒くなっていたことから、この呼称が定着した。

〇 Bewdley
- Bewdleyは、かつては運河としても利用された河川があり、昔から頻繁に洪水の被害にあってきた。堤防を整備したもののそれを超える洪水がたびたび起き、ブレア首相(当時)の訪問もあって、2006年に11百万円を投資して新たな堤防を導入した。この堤防は可動式で、洪水の危険性を検知すると政府機関の職員が堤防の設置を行う。設置には11時間程度を要するという。

※平時は塀に格納されている可動式堤防。

※可動式堤防は各ポイントに設置される。
- 廃校をリノベーションして開業したブリュワリーも見学した。英国における地域経済活性化に向けた先進的な取組を確認した。
【9/15 Observation of Council Services: Finance】
〇 Finance部門の業務
- Finance部門では、主に、予算編成、税収、手数料等収入、各種支払(事業活動におけるVAT支払いなども含む)、リスクマネジメント、内部監査などを担当している。リスクマネジメントの取組については、ガバナンス報告書を四半期ごとにAudit committee(監査委員会)がレビューすることになっており、対象となるのは、4,000万ポンドを越えるプロジェクトである。職員の給与など一部の支払い業務については、近隣の自治体と共同で運営しており、これにより、コストが半額程度に抑えられている。
〇 予算編成のプロセス
- 予算編成のプロセスは毎年夏から始まる。まず、基礎資料として、「現在の職員リスト」と「給与水準の一覧」を作成する。これらに加え、各職員が、どの業務にどれだけの時間を割いているかについて細かく記録した資料を作成し、各サービスにかかるコストを正確に算出する作業を行う。
- この作業と並行して、実際の予算額の検討を始める。具体的には、前年度の実際の支出額をベースに、個々の経費の増減について見直しを行う。このプロセスには、WFDCが提供する各種サービスの手数料等の見直しも含まれる。このプロセスは、数か月の期間をかけて議論される。
- そして、収入の見通しとコスト圧力についても数値化して検討材料へと落とし込む。ここでいう収入とは、主に政府から支給される交付金を指す。しかし、政府からの交付金に関する情報が公開されるのは年度の後半になるため、あらかじめefficiency savings(効率化によるコスト削減策)も検討しておき、希望通りの収入が得られなかった時に対応できるようにしておく。また、コスト圧力とはインフレーションやWFDCが提供する住民サービスへのコストを指す。これらが予算編成に与える影響をできるだけ早期に特定し、かつ継続的に検証することで、適正な予算編成に努める。
- このようなプロセスを経て作成された予算案は、主に野党議員で構成されるScrutiny Committee(審査委員会)による審査にかけられ、同時に住民や事業者にも意見を求めコンサルテーションを経て、最終的に議会に提出される。
- WFDCにおいては、先の3年間を見通して予算が編成される。これは、将来のインフレやサービス提供コストの上昇を見据えて、予算編成を考えるためであり、また、長期的な視点でプロジェクトや住民サービスの提供について検討するためである。
〇 自治体独自の住民サービスの提供について
- 住民サービスのほとんどは法的に制度が定められているが、一部については自治体にも裁量がある。この部分についてどのようにサービスを提供することが最も望ましいか、まずは自治体職員より提案が作成される。続いて、自治体の幹部級職員らとCabinet member(内閣構成員)の非公式会議にて事前協議を行い、この会議を経て提案の内容が調整され、最終的な予算案に落とし込まれる。このように、自治体職員とCabinet memberが非常に協働的であることが、英国自治体の特徴といえる。
【9/15 Observation of Council Services: Planning】
〇 Planning Applicationについて
- 英国において、事業者が開発を行う場合、許可が必要になる。これはTown and Country Planning Act(都市農村計画法)という1940年代にさかのぼる古い法律に根拠づけられている。開発事業者は自治体に開発許可申請を提出し、自治体はその開発が開発予定地域に適しているかどうかを決定する。
- 自治体はLocal Planを作成する。これは、自治体が開発事業者に対して、どの地域がどのような開発に適しているのかをあらかじめ示すものである。「低所得者が購入できる住宅を建設すること」、「自然エネルギーを利用した電力システムを採用すること」など、開発事業者が申請に含めるべき要件も示される。
- 野生動物保護と樹木保護の観点からも開発計画が審査されるというものがある。例えば、絶滅危惧種や希少種の野生動物を害してはならないという法的要件が定められており、開発者は開発地の事前の調査やこれらの動物に害を与えない開発が義務付けられている。樹木についても、自治体の許可なく樹木を伐採した場合、法律違反となる場合がある。
- 開発事業者からの申請の処理には、6週間程度かかり、大規模開発の場合には数年を要す場合もある。この期間は開発事業者に依存する。通常、開発事業者は、申請の全ての内容に問題がないことを確認してから申請することを望むため、大規模な開発計画ほど何度も事前の話し合いを重ねる。
- 開発申請認可後の事後監督は、資金不足で対応できていない。しかし、野生動物の保護に関しては、昨年法律が改正され、5年ごとの事後監督が法定化された。樹木の保護についてはそのような法律は存在しないが、近隣住民から自治体へ通報がある場合もある。
〇 Local Planについて
- Local Planは日本の都市計画に相当するもので、5年ごとにレビューを行い、必要に応じて更新することが法的に定められている。Local Planが作成されると政府によって雇用されているPlanning Inspector(検査官)に送られ、自治体とPlanning Inspectorが話し合い、Local Planが国の政策にも一致していることを確認する。
- Local Planは重要な文書であるが、実際には指導書というよりもカラーパレットのようなもので、土地利用や開発の割り当てが示されている。また、Planning Applicationの審査の根拠にもなる。
- WFDCのLocal Planはまもなく更新される予定。更新には時間がかかり、政治家や地域住民が意見を述べる機会でもある。
〇 開発事業者との交渉
- 1,000戸や500戸といった非常に大規模な住宅開発申請があった場合、自治体がDesign Brief(自治体が求める具体的な内容や基準を示したもの)を作成する。例えば、街路樹を含めるように指示したり、住宅地全体が小さな集落のように見えるような希望を伝えたりする。開発事業者は、一般的に、可能な限り経費を抑えて住宅を建設し、利益を確保しようと考えるため、自治体としては、地域住民にとってよりよい開発結果となるように要望することもある。
【9/16 Meeting about Agenda for Council Meeting on 24 September】
〇 議題
- 9/24開催Council Meetingの議題について
〇 参加者
- WFDC Chief Executive(事務総長)、Chairman(議長)、Leader(リーダー)など
〇 会議内容
- 議題に同じ。Council Meetingの議題及び報告書は、原則として会議開催日の5営業日前までにに発行される。
〇 所感
- 一般的かつ形式的な打ち合わせであった。
【9/16 DCN(DISTRICT COUNCILS’ NETWORK) Chief Executives’ Group Meeting】
〇 議題
- 「Local Government Reorganisation」及び「Flexible Voting Pilots」について
〇 参加者
- WFDC Chief Executive、他のDistrict CouncilのChief Executive
〇 会議内容
- 会議のほとんどが「Local Government Reorganisation」に割かれた。WFDC Chief Executiveは、新自治体においては幹部級職員をどのように確保するか、現自治体における幹部級職員が新自治体においてどのように登用されるかといった職員問題に懸念があるように見受けられた。さらに他の自治体のChief Executiveからは、現在の自治体における業務計画を新自治体にどう反映させるかといった懸念などが示された。
〇 所感
- Reorganisationにあたって現場となる自治体は様々な課題に直面していることを垣間見ることができた。どの自治体のChief Executiveからも様々な意見が示され、こうした会議が有益な場として機能していることが伺えた。
【9/16 Tour of The Hub, Kidderminster】
〇 The Hub (Green Street)
- The Hubは日本の自治体における支所(例:X区役所Y出張所)のような施設である。Social Housingに関する住民からの相談や、Council Tax(カウンシル・タックス)の納付・滞納などの窓口業務に対応する。また、ごみ収集や福祉サービス、道路清掃などの住民サービスに関する部署も置かれている。
- The Hubの隣には、Worcestershire County Councilによって導入された廃棄物発電施設へ運ばれる前のごみが一時保管されている廃棄物中継ステーションやごみ収集車のガレージが設置されている。ごみ収集は火曜日から金曜日までの週4日行われる。月曜日は祝日になることが多く、職員に割増賃金を払う必要が生じるため避けられている。一般ごみとリサイクルごみの収集は無料だが、芝刈りのごみなどの庭ごみの収集は有料である。また、一般ごみとリサイクルごみは、隔週で収集される。
- 税収と福祉給付の担当チームの職員は、ほとんどが常時在宅勤務をしている。年間約3万件の市民からの電話があるが、電話を自宅の電話に転送できるシステムが導入されているため、職場に来る必要がない。

※The Hub外観。

※The Hub内部。手前は受付で、奥に個室型の窓口がある。
【9/16 Observation of Council Services: Waste Collection】
- ごみ収集はDistrict Councilの法定業務であるが、ごみ収集を外部に委託するかどうか、収集頻度(毎週、隔週など)をどうするかはDistrict Councilごとに選択することができる。
- WFDCにおいては、日本のようなごみステーション方式は導入しておらず、各家庭前に設置されているごみ箱からごみを回収する。住民は一般ごみ用の黒色のごみ箱とリサイクルごみ用の緑色のごみ箱を使用する。一般ごみを回収した翌週はリサイクルごみを回収するというように、それぞれ隔週で回収される。
- 他のDistrict Councilにおいては識別ICチップを活用したごみ収集を行っているところもある。これは、収集の際にICチップを読み取ることで世帯とそのごみの重量を計測するシステムである。WFDCではこのシステムを事業者ごみ収集には導入しており、利用量に応じて料金を支払う従量課金制となっている。大量にごみが発生しない事業者にとっては有益な制度となっている。家庭ごみ収集にこのシステムを導入しないのは、既存のごみ箱へのチップ装着に係るコスト及び労力の問題である。
- ごみ収集は全世帯が対象で、約49,500戸をカバーしている。収集は火曜日から金曜日の4日間にわたって行われ、ごみ収集車は計11ルートで運行されている。各収集車は1日あたり約1,000戸を担当する。設置ごみ箱までごみを運べない高齢者や障がい者に対しては収集補助サービスを提供しており、職員が直接ごみを回収しに行く支援も行っている。なお、ごみ収集後のごみ処理はCounty Councilの法定業務であり、WFDCの場合、Worcestershire County Councilが主導で建設した廃棄物発電施設を管内のDistrict Councilが共同で使用している。
- 英国内では、ごみ収集業務は地域住民から感謝される仕事として認識されている。日々の交流が少ない高齢者はごみ収集の日を楽しみにしているほか、クリスマスなどには収集員にプレゼントを渡す住民もいる。こうしたことから、ごみ収集員の人手不足をはじめとした雇用問題は少なからずあるが、地域に感謝される仕事としてのニーズはあると感じている。
- 日本の一部事務組合のようにDistrict Councilが共同してごみ収集を行うことはなく、現在はそれぞれのDistrict Councilが単独で行っている。しかし、英国自治体の再編成に伴い、複数のDistrict Councilが統合されることになるので、連携してごみ収集方法を検討していく必要がある。
【9/16 Observation of Council Services: Housing】
- 1820年代、産業革命と都市化の進行に伴い公衆衛生問題が深刻化した際、これまで貧困層を支援する義務があったParish(地域共同体的な性質を持つ法律上の準自治体)に衛生環境を整備する義務が与えられた。これが公衆衛生や住宅環境の整備に自治体が対応することの出発点となっている。現在においては、政府がそれらの整備に係る指針を整備し、自治体がその基準に則って事務を実施するという体制が構築されている。
- 住宅環境の整備について、WFDCにおいては、高齢者やカーペット工場で勤務していたことによる肺疾患を持つ住民が多いといった高齢化・健康問題に対応するため、政府資金を活用した住宅改修や自宅での生活を容易にする支援を行っている。また、社会的孤立や精神問題、不衛生な住宅を抱える人々を支援(介入)することもある。しかし、英国には「An Englishman’s home is his castle.(英国人にとって家は城である。)」という格言があり、原則として個人の住居内への介入は避けるべきであると考えられているが、こうした状況が周囲に与える影響も鑑み、保健福祉部門や環境部門と連携し、総合的判断のうえ対応する必要がある。このように良質な住宅の建設を確保するといった注目度の高い業務だけでなく、個人レベルの課題解決といった業務も担っている。
- 洪水対策や排水対策にも取り組んでおり、新規住宅や建築物の建設許可や条件を判断する際に、洪水リスクについても検討している。例えば、新しく住宅を建設する場合には、その土地から流出する雨水量は、緑地だった場合の雨水量を超えてはならないと定めている。これはかつて多くの住宅が建設された際、地面がアスファルトに覆われたことにより雨水が浸透する場所がなくなり、多くの問題を引き起こしたことが背景にある。住宅周辺だけでなく河川の洪水対策も施し、「Space for Water(水のための空間)」を整備している。
- Bewdleyのように洪水被害や浸水被害に遭っても住民は同じ家に住み続けるが、これは文化の問題が背景にあると考えられる。日本のように災害危険区域から政府が住民を強制的に移転させることは住民を守るという点で合理的な政策であるが、英国では見られない。
- WFDCでは少なくとも約3,000人が住宅の供給を待っている状況である。彼らは文字通り「家がない」人ではなく、現在住む場所はあるもののそれが自分の家ではない者や、結婚等により実家を出る者などのことである。彼らは住宅協会が所有する物件に申し込むことができるが、競合する場合は家族構成や健康状態、収入、地域性などが考慮されて入居の可否が決定される。これらは政府が定める基準に基づいている。
- また、文字通り「家がない」というホームレス問題も存在しており、彼らから様々な情報をWFDCの職員が聞き取り、支援が必要だと判断した者には、一時的な住居の提供や生活保護費の受給支援、就労サポートなどを実施している。こうした支援のためには、被支援者の個人情報の共有など各機関との連携が必要になるが、その際には本人の同意が必要となる。一元的なデータベースが存在しているわけではない。
- 英国における住宅不足への対応として、自治体はどの土地を住宅地とするか計画で定めるが、自治体がその土地を買い取り、開発事業者に提供するのではなく、住宅建設を名乗り出た開発事業者が土地所有者との買い取り交渉から始め、住宅を建設していくという仕組みが構築されている。
【9/16 Observation of Council Services: Council Tax】
- Council Taxは1991年当時の不動産価格を基準とした8段階の価格帯に応じてその額が決定されている。住宅市場が大きく変化し、価格も変動したにもかかわらず、まったく変更されていないことは時代遅れだと感じている。ただし、再評価は非常に大規模な作業になると思われる。また、同じ価格帯であっても地域によってその税額は異なり、例えばCity of Westminster(ロンドン・ウエストミンスター市)は都市部だが実はCouncil Taxが安い部類に入る。
- Council TaxはDistrict Councilが徴収するが、WFDCにおいてはその総額の69%はWorcestershire County Council、13%は警察、7%は消防にそれぞれ配分され、残る11%を保有することとなる。
- WFDCでは、19名の職員が税務部門で勤務し、うち15名が登録・課税・減免処理を担当し、うち4名が滞納者の対応や回収業務を行う。登録に際しては、日本のような住民基本台帳がないため、職員が物件の居住実態を確認することもある。また滞納者の対応についても職員により何度かにわたって督促状を送付するが、それでも対応されない場合は裁判所に提訴する。しかし回収率が100%となることは不可能で、WFDCにおいては最高で98%かそれ以上であったが、これはWorcestershire州内においては最も高い回収率である。
- 今後Council Taxの請求や督促を紙の通知ではなく、SMSやメール通知に移行する予定で調整している。AIについても活用を検討しており、例えばチャットボットにおいて住民からの質問に対応することも検討しているが、費用の問題がある。
- Council Taxの支払いは口座振替のみではなく、ウェブサイト経由でのオンライン支払や、TESCOなどの小売店チェーンでのバーコード決済にも対応している。
【9/16 Tour of the Old Court Regeneration Project】
〇 建物の歴史
- もともとはカーペット工場だったこの建物は1870年代に建設され、1970年ごろに裁判所に改装された。現在は小さなオフィスや会議室に改装され、民間企業に貸し出している。かつての法廷は、約100名が収容可能なイベントスペースになっている。政府が歴史的・建築的価値がある建物と認定した建物に付けられる分類である、Grade II listed buildingに指定されている。
〇 企業支援
- 政府資金を活用して地域の技術革新と経済成長を促進することを目的としたBeta Denという機関に建物内のテナントを貸している。Beta DenにはWFDCも資金提供をしていたためKidderminsterにも拠点を設けるよう求めた。これにより、新しい企業が生まれ、雇用創出や税収増加につなげる狙いがある。
- この施設では、3Dプリンターやポッドキャスティング用のスタジオを無料で利用することができる。小規模企業が大企業へ成長するためのステップを支援することが目的である。将来的には利用料を徴収することも検討している。
〇 オープンスペースの活用
- かつてはカーペットの製造場所やマーケットとして市民に活用されていた屋根付きのオープンスペースがある。このスペースで、この建物のオープンを記念したオクトーバーフェストの開催を予定している。そのイベントの出店者からの出店料で自治体として収益を確保することや、オンラインショッピングを好まない高齢者に、実際に食事や買い物を楽しんでもらうことで、地域経済への資金の還流を生み出すことを目指している。
- 現在英国では、CountyとDistrictを統合してより大規模な行政体を設置する検討をしている。これは、ロンドンとイングランドその他地域との間に存在する著しい経済格差に対応するため、広域圏をカバーするMayoral Strategic Authority(首長制戦略的自治体)の創設と権限委譲を支援するという政府の政策の一環である。これは大学卒業後に若い人材が都市部に流出してしまう「brain drain(頭脳流出)」という現象に一部起因しており、両国共通の課題であると認識している。
- Covid-19後、英国では、在宅勤務の割合が大幅に増加している。都心部のオフィスに通勤する必要がないため、大都市から成功企業を誘致できる機会ではあるが、それにはインフラの整備や住宅が必要であり、これらの整備には数十年かけた長期的なビジョンが必要である。このOld Courtのプロジェクトはその一部である。

※もとは法廷であったイベントスペース。
【9/16 Group Leaders’ meeting】
〇 議題
- 「ICT Strategy Update」、「Communications Strategy / Web Update」及び「Forward Work Programme」について
〇 参加者
- Group Leader 3名、Chief Executive、幹部級職員2名
〇 会議内容
- 各議題について事務局側からの説明と議員との質疑応答が行われた。
〇 所感
- 議題ごとに説明と質疑応答が行われたが、当該議題の説明と質疑応答が終了すると担当職員は会議から退席した。日本では、自らが担当する議題が会議の一部のみであっても会議全体に参加することが一般的であるため、この違いに驚きを覚えたと同時に、合理的なシステムであると感じた。

※議場の様子。
【9/16 Cabinet Meeting】
〇 議題
- 「Budget and Performance Monitoring First Quarter 2025-26」、
「Council Tax Reduction Scheme Review 2026-27」、 「Local Plan Review – Call for Sites」、
「Kidderminster Lionfields Redevelopment」及び「Bewdley Museum Project」 について
〇 参加者
- Cabinet member 6名、Chief Executive、幹部級職員5名
〇 会議内容
- 第1四半期末における財政状況についての報告をはじめ、2026年度におけるCouncil Taxの控除制度の変更有無、Local Planのレビューなどについて、事務局からの説明とそれに対するCabinet memberとの質疑応答が行われた。
〇 所感
- 一般傍聴スペースが設けられているほか、リアルタイム配信もされており、公開された議論の場となっていた。議案について、Cabinet memberが説明するものと事務局職員が説明するものがあり、この違いについてChief Executiveに尋ねたところ、本来はCabinet memberがすべて説明すべきものであるが、内容により説明が困難なものは事務局職員が説明としているとの解説があった。自治体によって運用は異なるようであるが、議員内閣制が機能していることを実感することができた。
【9/17 Transformation & Commercial Board Meeting】
〇 議題
- 商業分野のプロジェクトの進捗報告および意見交換
〇 参加者
- Cabinet member4名、Chief Executive、各プロジェクトの幹部級職員及び担当職員
〇 会議内容
- 会議では、4つの事業分野(賃貸収入、商業収入、自然資産活用、業務効率化)について、各プロジェクトチーム責任者から進捗状況と課題が報告された。これに対し、Cabinet memberおよびChief Executiveから助言と精査がなされ、意見交換が行われた。
〇 所感
- 日本の場合、職員から議員や首長に対して説明や報告をし、承認を得るというような一方向的なやりとりをイメージするが、この会議は民間企業における経営会議に近いような印象を受けた。各プロジェクトの幹部級職員はプロジェクトの進捗や設定した目標の達成度などを具体的な数値を用いて説明し、Cabinet memberらもそれに対して具体的なフィードバックを行っていた。また、Cabinet memberらから幹部級職員へ労いの言葉がかけられるなど、協働的な空気がミーティング全体を通して感じられたことが印象的だった。
