Japan Local Government Centre (JLGC) : London > 調査・研究 > 地方自治体等訪問レポート > エクセターとテインブリッジを訪問しました

調査・研究

地方自治体等訪問

エクセターとテインブリッジを訪問しました

2020年01月23日 

2020年1月21日,当事務所が実施している新任職員を対象とした実地研修の一環として、エクセター(Exeter City Council)とテインブリッジ(Teignbridge District Council)を訪問しました。

・Exeter City Council
エクセターはイングランドの南西部に位置し,人口約13万人のデヴォン州 (Devon)の中にある都市の一つです。エクセターを含めデヴォン州は8つのディストリクトと2つのユニタリーがあります。エクセターにはエクセター大学及びプリマス大学のキャンパスがあり,特にエクセター大学は世界的にも気候変動の研究で有名です。

エクセターは環境対策として,排出二酸化炭素をゼロにするCarbon Neutral Councilの取り組みを行っています。2014年からrenewable energy strategyを展開するなど、早くから環境対策に力を入れて取り組んでいるエクセターですが,近年の環境問題に対するデモなどを受けて,2019年に議会がclimate emergencyを宣言し、2030年までにカーボンニュートラルを達成し、他自治体のモデルとなることを目指していいます(英国の多くの自治体は2050年までのカーボンニュートラル達成を掲げています)。

政策例として
・太陽光パネル施設の拡大
既存施設への太陽光パネルの設置を大幅に拡大。1施設で16000本の植樹によるCO2削減量に相当、180世帯程度の年間電力使用量を賄えています。
・省エネルギー住宅の建設
ドイツで先行しているPassive Houseとよばれる省エネルギー住宅の建設を進めています。太陽光パネルの設置や熱効率を極限まで高め、また極力化学合成物などを使わないエコ住宅を公営住宅として建設しています。
・LEDライトの使用促進
耐久性があり、エネルギー効率の良いLEDライトを庁舎内や市内各地で使用。
・庁舎の使用面積を削減
全職員がリモートワークが可能な体制を整え、オフィス面積を大幅に削減、これまで2棟使用していた市庁舎を1棟で済むようにしています。2020年までに市庁舎から排出されるCO2の50%を削減できる見込み。もう一棟を民間に貸し出すことで市の財源確保にも貢献しています。

・Teignbridge District Council
テインブリッジの中心市街地にあるNewton Abbot Marketは800年の歴史を誇る商店街ですが,人々の消費行動がオンラインショッピングなどにシフトしていく中、マーケットを利用する人は減少し、中心市街地の空洞化が問題となっています。この課題を解決するため,Teignbridge District Councilでは10年前に中心市街地活性化のマスタープランを策定。人々を中心市街地に集めるとともに、中央政府からの予算がカットされ続ける中、いかにカウンシルの収入を維持していくかを視点に様々な取り組みを行っています。

その一つとして、同カウンシルでは2016年に中心部にあるショッピングセンターと市場を購入し、そのテナント料を市の収入にあてながら、さまざまンジャンルの店をショッピングセンターや市場に誘致する取り組みを行っています。

商店街の運営においては,共働き世帯のため、中心市街地に病院や薬局、レストラン、ファッションなどのショップ、不動産屋など様々なジャンルの店舗が集まるように心がけられています。

賃料も市場とショッピングセンターで分け、市場からショッピングセンターにかけて徐々に賃料を挙げていくことで、テナントオーナーがビジネスの成長に合わせて少しずつチャレンジできるように設定しています。賃料は市場価格のもの、市場価格より安い設定のものがあります。このように市がショッピングセンター等を購入して投資をすることで、他の民間企業もその周辺のエリアに投資を始めて好循環が生まれています。

このような中心部活性化の取り組みに力は入れたこともあり,Teignbridgeの人口は増えているものの、Exeterなどの近郊の大都市に働きに行く人が依然多く、どのように地元でお金をまわしていくのかが課題になっています。

ページの先頭へ