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地方自治体等訪問レポート「The London Office of Technology and Innovation (LOTI)を訪問」

2026年04月01日 

職員を対象とした研修の一環として、2025年7月7日、 The London Office of Technology and Innovation (以下「LOTI」という。) を訪問した。LOTIとは、ロンドン市内の地方自治体が連携し、デジタル技術とデータ活用を通じて公共サービスの改善を目指す組織で、今回の研修では同団体の活動概要やこれまでの取組について話を伺った。

○組織概要
LOTIは、ロンドン内の28区及びGreater London Authorityをつなぎ、イノベーション、データ、テクノロジーを活用し、ロンドンが抱える課題解決を支援している。小規模(約10名)の専門チームで運営。ロンドン内の自治体と密接に連携し、技術導入・知見共有・共同プロジェクトの設計・支援を行う。自治体がLOTIに支払うサブスクリプション料金は年間£33,000(約656万円)。自治体からみたLOTI加入のメリットとしては、他の自治体の先例から学ぶことで類似事例の導入時のコストを浮かせることができるほか、外部資金の調達が可能になる、LOTIのメンバーからの支援を受け、DXの取り組みを加速できるようになる、など多岐にわたる。

○主な活動
知識の共有、能力開発、社会的影響と変革促進、プロジェクトの実行の4つの領域を中心に活動。

<知識の共有>
•各自治体で得られた成功事例や教訓を他自治体に展開することで、無駄な重複投資を防ぐ。
•年間約90のイベントを開催。ワークショップや交流会なども通じて学びの場を提供。
<能力開発>
•研修などを通じて、自治体職員がデータ・法制度・技術を理解し活用できるよう支援。
•特に情報保護とイノベーションの両立を重視。
<社会的影響と変革促進>
•会議等での発言やキャンペーンを通して社会的な変革を促進。
<プロジェクトの実行>
•AI、デジタル包摂、福祉、住宅等の課題に対し、共通課題を定義し解決手法を模索。

○デジタル包摂プログラム
パンデミック後の社会課題として顕在化したデジタル・デバイドに対応。既存の地域団体と連携し、端末配布、インターネット接続支援、研修を提供するなどして75,000人以上に支援を提供している。

○AIに関する取組
自治体がAIを適切に利活用できるように、リソースや研修を提供。また、LOTIのもつデータ倫理および情報ガバナンスの専門知識を活かし、AI利用に伴うリスクに対応するための実践的なガイダンスを作成。

○ホームレス支援におけるデータ連携
各種支援団体・地方自治体間のデータを統合・匿名化し、支援を求めてきたホームレスがどのような旅路を辿ってきたかをデータ化。自治体がどのような支援を提供すればよいか考えるための材料となっている。本データはLOTIのメンバーに加入していない自治体からも収集し、ロンドン全体のホームレス支援の実態を可視化している。

○センサー導入による公営住宅の維持管理
住宅内の湿気・温度・カビの状況を可視化するセンサーを導入。健康被害を未然に防ぎ、住宅補修費の抑制を目指す。一部住民はプライバシーの観点から不安の声が寄せられることもあるが、対話と共感による信頼醸成を進めている。

○ヘルスケア・福祉領域の「サンドボックス型実験」
住宅・社会福祉サービス・病院などの分野から関係者を集め、課題を抽出したうえで、解決に向けた実証プロジェクトを実施している。現在6つの実証プロジェクトを実施中。

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