調査・研究

オランダの地方自治情報メモ

オランダ

右派政権のスローガンは「自由と責任」

2010年10月01日 

 3党連立による新政権が「自由と責任」というモットーのもとに作成した連立合意書の内容を発表した。
 本合意の目的は、オランダを「勤勉なオランダ人」の手に取り戻すことにあると、VVD党首であり首相に就任すると目されているマーク・ルッテは発言した。
 連立協定はキリスト教民主アピール、右派VVD(自由民主国民党)と反イスラムのPVV(自由党)の約2ヵ月にわたる連立交渉の結果によるもの。PVVはVVDとCDA(キリスト教民主アピール)を、多くの政策課題において支援するが、閣僚は出さず、公式には政府の一部とはならない。
 この合意にはブルカの禁止、動物警察の導入、最低賃金の減額が含まれている。
 この合意における歩み寄りは非西洋人移民を50%削減につなげることができるはずだと、PVVのフェルト・ウィルダース党首は述べた。
 キリスト教民主党の議員の間では現在でも連立政権を支持するかしないかで意見が分かれている。
 水曜日の15時間の議論の後、21人の国会議員が土曜日の議会に欠席することを決定した。また、少なくとも2名の国会議員がフェルト・ウィルダースの党との連立に反対したことが判明している。

 連立協定の主な内容は下記の通り。

経済と税制
・外国援助はGDPの0.8%から0.7%にカット
・風力発電と太陽光発電への助成金のため、エネルギー使用量にサーチャージを課金
・グリーンポートフェンローやメンテナンスバレー事業など、企業協力による事業推進を奨励
・社会基盤の整備における官民協働の推進
・児童手当、保険手当は削減

移民と亡命者保護:
・移民に対する統合試験準備コースの受講料を本人負担に
・ブルカとそのほかの顔を覆う衣装の着用を禁止
・警察官並びに司法職員のヘッドスカーフの着用を禁止
・統合試験の難易度を上げる
・亡命希望者を自動的に難民として認定する危険国のリストを廃止

労働と社会保障
・求職に適さない服装・行動を行う者への給付金は削減
・最低賃金並びに生活保護給付を減額
・年金支給年齢を2020年までに65歳から66歳へ引き上げ
・失業保険は変更なし
・余剰人員解雇法も変更なし

司法と社会秩序
・警察官を2500名増員
・動物警察官を500名増員
・重犯罪に対する最低刑
・救急隊員に対する攻撃への刑罰を重くする
・職務質問の対象を拡大

国防と外交政策
・イスラエルとの関係強化を図る
・NATOへの協力にかかる経費は海外援助予算から捻出
・EU関連経費を10億ユーロ削減する
・JSF戦闘機の購入を検討するため2度目のテストを行う

その他の施策
・保護者は子供がきちんとしたオランダ語を話すようになるよう経済的責任を負う
・道路整備に5億ユーロを支出
・芸術・文化予算の削減
・高齢者関連費として10億ユーロを追加支出
・売春の合法年齢を21歳に引き上げ
・日曜日の営業制限は年間12日のみとした現状維持
・高速道路の速度制限を時速130キロまで緩和
・奨学金支給年数を4年から3年に短縮
・原子力発電所の建設申請を歓迎

政府
・年間66億ユーロを削減するため、行政サービスを縮小
・新内閣は12名の大臣と8名の副大臣で構成され、閣僚はCDAとVVDから選出
・経済と農業は統合され一つの省で取り扱う
・地方自治体の階層を減らす

【出展】Dutch News.nl ウェブサイト 2010年9月30日
http://www.dutchnews.nl/news/archives/2010/09/freedom_and_responsibility_is.php

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