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CLAIRメールマガジン vol.262(2020年11月16日)=英国における自転車利用推進のための施策

2020年11月16日 

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【ロンドン事務所】英国における自転車利用推進のための施策
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英国では、10月まで行われていた段階的なロックダウンの解除により、落ち込んでいた交通
需要が回復するにつれて、地下鉄などの公共交通機関の混雑や、自家用車の使用の急増などの
問題が予想されることから、政府は自転車や徒歩での移動を推奨するための20億ポンド(約2,720億円)
規模の計画を発表しました。

この計画は今年の2月に発表された、自転車やバスのためのインフラ整備のための50億ポン
ドの計画の一部ですが、今回のパンデミックで自転車や徒歩での移動が急増したことを受け、
自転車や歩行者のために道路空間を再配置するよう地方自治体に課す法定ガイダンスが直ちに
実施されることとなりました。また、自転車向け通行レーンの緊急整備などに活用される2億
5,000万ポンド(約340億円)の緊急アクティブ・トラベル・ファンドを含む地方自治体への財
政措置のほか、すでに自転車を所有しているが使用していなかった人向けに、走行可能な状態
に自転車を修理するためのバウチャー制度の策定や、来年に予定されていたe-スクーターレン
タルの試験実施の前倒しなどの計画が発表されました。

上記の緊急アクティブ・トラベル・ファンドに関しては、78の自治体への財政措置が決定さ
れました。その中の一つ、ロンドンの南東にあるケント州では、州内の主要な道路16箇所につ
いて、道路標識の改善や歩行者・自動車レーンの新設、時間による自動車の進入制限を行うな
どの改善が行われています。また、このファンドが発表される前から、市内のNHS(国営医療サー
ビス)病院に通勤する職員等のための自転車通行レーンの整備などを進めていたレスター市は、
今回のパンデミックに対応して新たに策定された市の交通復興計画の中で、地域内の自転車通
行レーンの伸長、パークアンドライドの拡充などの取り組みを推進していくとしています。

Climate Assembly UK(気候変動に関する英国の市民団体)の最新の報告によれば、今回の
パンデミックからの「グリーンな復興」が市民によって望まれていると言われています。気候
変動だけでなく、健康増進や交通渋滞の緩和などの多面的なメリットを持つこれらの自治体の
取り組みが、今後どのように実を結ぶのか、注目していきたいと思います。

ロンドン事務所所長補佐 濱本

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