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CLAIRメールマガジン vol.247(2020年3月13日)=英国のワークスタイル

2020年03月13日 

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【ロンドン事務所】英国のワークスタイル
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近年、日本においても政府や企業の取り組みとして、「働き方(ワークスタ
イル)改革」という言葉をよく耳にするようになりました。働き方改革の一環
として、始業と終業の時刻を選択できるフレックスタイム制、コワーキングス
ペースや自宅など場所を選ばず働けるリモートワーク(テレワーク)を導入す
る企業が増えており、まだ導入率は低いものの自治体レベルでも少しずつ増え
てきています。

一方、英国ではすでにフレックスタイム制やリモートワークといったワーク
スタイルが広く浸透しており、企業はもちろん自治体でも取り組まれています。
英国の今のワークスタイルを創り出した1つの要因として、「2014年子供と家
族法(Children and Family Act 2014)」が施行されたことがあります。
この法律により全ての雇用者が、家庭生活におけるワークライフバランスの維
持を理由にリモートワークを求める権利を得ました。イングランド東部にある
ピーターバラ市の外郭団体Opportunity Peterboroughの担当者は、リモー
トワークについて自宅で子供の面倒を見ながら働くことができ、ミーティング
等もテレビ電話で対応できるため、オフィスに捉われる必要がない画期的なシ
ステムと語っています。

しかし、英国でリモートワークが浸透した背景には、必ずしもワークライフ
バランスの維持というポジティブな側面だけではありません。ロンドン市内に
ある33の全ての特別区(Borough)がリモートワークを推進していますが、その
背景には自治体の厳しい財政状況があります。国の財政緊縮により自治体への
交付金が大幅に削減され、自治体は限られた予算の中でサービスの質の確保が
求められており、その打開策の1つとしてリモートワークを導入することで業
務の効率化やコスト削減を図っています。

イングランド南西部にあるエクセター市では、市の財源確保のため2棟ある
庁舎のうち1棟を民間に貸し出すこととなり、その結果、職員全員が働くスペ
ースを確保できないため、交替で週2~3回リモートワークを実施しています。
担当者は、通勤にかかる時間やコストの削減だけでなく、車通勤が主流の地方
では、二酸化炭素の排出削減にもつながっていると語っています。

今年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、日本において
も導入率が向上することが期待されている一方で、同じ空間で働き、社内コミ
ュニケ―ションを重視するワークスタイルが根強く残る日本において、今後ど
こまでリモートワークが普及するのか注目です。

ロンドン事務所 所長補佐 高橋

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