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CLAIRメールマガジンvol.206(2018年6月8日)=1£ハウス~リバプール市のパイロット事業~

2018年06月11日 

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【ロンドン事務所】1£ハウス ~リバプール市のパイロット事業~
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多くの日本の地方自治体が直面する空き家問題は、英国においてもしばしば問
題となっています。2012年にリバプール市長に就任したJoe Anderson氏も、就
任当初から市の空き家問題への取り組みを優先課題としていました。当初、リ
バプール市は市内の空き家を買い取り、それらを取り壊した後に新しい住宅を
建設する予定でしたが、それに充てるはずの国からの補助金が減額されたため、
計画を進められなくなりました。

そこでリバプール市が打ち出した「1£ house」というパイロット事業が英国で
今話題となっています。この計画によると、市の所有する空き家を条件付きで
はありますが、1£(約150円)で提供します。応募にあたっては、1.市内在住・
在勤、2.初めての不動産購入であること、3.入居後5年間は賃貸や売買を禁ず
ること、4.空き家を1年間で居住可能な状態に改築(完成までの所有権は市が
保有)といった条件が付与されましたが、20件の空き家に対し、2,500人から
の応募がありました。

しかし、条件の1つである改築は一筋縄ではなかったようで、居住希望者の悪
戦苦闘ぶりをChannel4がドキュメンタリー番組として放映し、大きな反響を呼
びました。空き家というより廃墟と呼ぶ方がふさわしい物件を1年以内に改築
することは並大抵ではありません。

一度人が住まなくなった住宅街は治安が悪化するため、市はコミュニティの再
生を目指し、このパイロット事業に取り組んでいます。1£ House事業により再
び居住できるようになった家屋は市内にある6,000件の空き家のうちのまだ2%
にすぎませんが、リバプール市は今後1,000件の空き家を再び居住可能にするこ
とを目指しています。

(参考)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-5347623/Families-bought-homes-1-transformation.html

ロンドン事務所 所長補佐 山口

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