英国では、地方自治体で都市計画を担う人材を育てる「Pathways to Planning」というプログラムが注目を集めています。これは、2023年に始まった、大学院課程と連動した、自治体の人材育成に関する実践的な仕組みであり、地方行政の現場と学びを結びつける新しい試みとして評価されています。
このプログラムは、英国政府の資金提供を受けて Local Government Association(地方自治体協会)が実施しています。大学卒業者などを対象に、地方自治体などの公共団体で働きながら大学院の修士課程で専門知識を学ぶ機会を提供します。授業料は公費負担とされ、参加者は、勤務の一環として週1日ほど大学院の講義に出席し、修士課程の期間に合わせた雇用契約が結ばれます。
2025年10月からは、これまでの都市計画分野に加え、PlanningとSurveyingの2つのコースに拡大されて参加者の募集が始まりました。新設された2つのコースのうち、Planningは都市計画の専門職を育成するコースです。地方自治体の計画部門などで、開発管理や計画の策定、環境・交通といった空間設計に携わり、英国の都市計画士資格などを目指します。一方の Surveying は、建物や土地の価値評価、維持管理などを担う技術職を対象としています。参加者は建築調査や不動産評価などに関わり、RICS(不動産評価・建設管理などの国際的専門資格を認定する英国王立協会)の資格取得などを目指します。
住宅開発や地域再生への関心が高まるなか、「Pathways to Planning」は、若手が働きながら学ぶことで専門性を高め、公共部門の人材を継続的に確保することを目的としています。関係機関が連携してまちづくりを担う人材を育てるこの仕組みは、英国における持続的な都市計画人材育成のモデルとして今後の展開が注目されます。
(ロンドン事務所 所長補佐 鈴木)
【参考文献】
< https://www.local.gov.uk/pathways-to-planning >
< https://www.local.gov.uk/pathways-to-planning/career-planning >
