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CLAIRメールマガジン vol.365(2025年5月16日)=桜がつなぐ縁

2025年05月16日 

 英国で生活する筆者ですが、先日、生まれて初めて太白(たいはく)という種類の桜を見る機会がありました。太白は直径が5センチにもなる白い大輪の花が特徴の桜で、その青空に映える見事な白い花弁に、またそれを英国で見ることができるということに胸がいっぱいになりました。もちろん日本でも見ることのできる桜ですが、実はこの桜を今日の日本で楽しむことができるのは、英国人の桜研究家コリングウッド・イングラム氏のおかげです。
 1880年にロンドンで生まれたイングラム氏は、1902年に初めて日本を訪れたことをきっかけに、日本の豊かな芸術文化と自然のとりことなりました。特に彼が心惹かれたのが桜で、多数の品種を取り寄せ、研究することに情熱を注ぐようになります。さらに、研究を進める中で、人気のある種のクローンが多数つくられることにより、特定の品種が絶滅の危機に瀕していることを発見し、50もの種類の桜を自宅の庭に植え、品種保護の取り組みをするようになりました。さらなる希少な桜を求めて、イングラム氏は1926年に再び日本を訪れますが、その際に江戸時代に絶滅した白い桜の木の絵を目にし、絵と同じ桜が自宅の庭にあることに気づきます。彼のお気に入りの品種の1つでもあったこの桜を日本に取り戻そうと、イングラム氏は知人とともに桜を里帰りさせることを決意し、4年間に渡る試行錯誤の末、桜の接ぎ穂を日本に届けることに成功し、これが無事に根付いて「太白」と命名されました。
 イングラム氏の愛した太白の世界で一番大きな庭園が、英国北東部の街であるアニックのアニック・ガーデンという公園に存在します。この4月10日、クレアロンドン事務所も、この桜を縁としてアニック・ガーデンで日本文化の体験ワークショップを実施しました。桜の鑑賞や書道や折り紙などを楽しむ来場者の姿を見て、桜という存在がつなぐ英国と日本の縁に、感慨深い気持ちでいっぱいとなった貴重な経験でした。

 

ロンドン事務所 所長補佐 野村

 

<参考文献・引用文献>
・太白(検索日:令和7年4月14日)
< https://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/taihaku/ >
・Taihaku Cherry Blossom(検索日:令和7年4月14日)
< https://www.alnwickgarden.com/the-garden/cherry-blossom/ >
・Kent botanist saved Japanese blossom from extinction(検索日:令和7年4月14日)
< https://www.bbc.co.uk/news/articles/cn5xx7rydg2o >
・’Cherry’ Ingram: The Englishman Who Saved Japan’s Blossoms(検索日:令和7年4月14日)
< https://www.japansociety.org.uk/review?review=614 >
・WHEN WEST MET EAST AND BLOOMED ITS CHERRIES(検索日:令和7年4月14日)
< https://journal.linguaculture.ro/index.php/home/article/download/311/279

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