Japan Local Government Centre (JLGC) : London > 調査・研究 > クレア本部メールマガジン > CLAIRメールマガジン vol.302(2022年8月10日)=「英国のLGBT+による社会運動が50周年を迎えました」

調査・研究

クレア本部メールマガジン

英国

CLAIRメールマガジン vol.302(2022年8月10日)=「英国のLGBT+による社会運動が50周年を迎えました」

2022年08月10日 

読者の皆様は「プライド月間」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。1969年に米国で起きた同性愛者に対する強行捜査事件をきっかけに、抗議活動の一環として始まった同性愛者や性的マイノリティ(LGBT+)の人権に関する社会運動です。現在では、日本を含む世界各地で毎年6月に啓発運動やパレードなどが行われています。英国におけるプライド運動は1972年に始まり、今年50周年を迎えました。メインとなるパレードの当日は国内外から100万人以上が集まり、市内はLGBT+を象徴する虹色の旗(レインボーフラッグ)で溢れ、多くの人々も虹色を身にまとい、このプライドパレードに参加していました。パレードの中には「私は50年前のプライド運動に参加しました」と書いたプレートを掲げる老齢の参加者もいて、観衆から拍手や歓声で迎えられ、笑顔で行進している姿が印象的でした。期間中はLGBT+当事者によるロンドン市内のガイドツアーも行われ、ガイドが「子供の頃はコミュニティがなかったため、居場所を求めて当事者が集まるこのバーに通っていた」という当時の状況や実体験を話していました。また、別の街角では「1980年代にエイズが流行した際、LGBT+に理解のある医者が歓楽街におり、その病院に口コミで人が集まった」といった歴史的な話の紹介もあり、現在も続く長い社会運動の歩みを感じました。英国においては、2019年にイングランドにおいて性的マイノリティをカリキュラムの中で取り上げるべきことが教育に関するガイドライン中に明記され、スコットランドにおいても2021年からすべての公立学校で性的マイノリティに関する授業が実施されているなど、積極的な取組みが進められています。このような変化は一朝一夕で起こるものではなく、半世紀を超えるプライド運動やそれに取り組む人々によって生まれる一歩であることを感じたプライド月間でした。

ロンドン事務所 所長補佐 福田

ページの先頭へ