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CLAIRメールマガジン vol.148(2016年7月22日)= 英国 EU離脱に係る国民投票について

2016年08月05日 

英国 EU離脱に係る国民投票について
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(1)国民投票(レファレンダム)の結果

2016年6月23日、英国ではEU残留・離脱に係る国民投票(レファレンダム)が
実施されEU離脱派が勝利しました。各報道でご存知のとおり、この国民投票
ではEU残留派と離脱派が拮抗した状態にありました。投票者の属性を分析した
結果を見ると、若年層が残留を支持する傾向が高く、高年齢層は離脱を支持
する傾向が高かったようです。また、中高所得者層が残留を支持する傾向が
高く、低所得者層の方が離脱を支持する傾向が高いということが分かります。
地域別に見ると、ロンドンとスコットランド周辺は残留を支持する傾向が高い
ということも分かります。

【参考リンク】
< http://www.telegraph.co.uk/news/2016/06/22/eu-referendum-which-type-of-person-wants-to-leave-and-who-will-b/ >
< http://www.bbc.co.uk/news/politics/eu_referendum/results >

(2)開票事務に参加しての所感

イングランド中部のケタリングで開票事務に参加した私を含めたクレアロン
ドンの職員は、運び込まれた投票のうち離脱票が多いことに驚きました。開票
作業中は開票作業の関係者ではない人々(住民の方々)も厳しく開票作業を
チェックし、誤りや不正がないかをチェックしていました。「離脱票が残留票
を上回った」という結果発表後には、誰も何も言葉を発さず、30秒程度沈黙
で静まり返っていたと記憶しています。各種の世論調査では直前まで残留と
離脱が拮抗と報じられていましたが、ロンドンでは残留派が多かったためか、
離脱派の方が多いということをこれまで感じることができませんでした。投票
日の前日は、地下鉄の駅の前で残留派と離脱派の人が積極的にキャンペーンを
行っていました。私は投票権を持っておりませんでしたが、すごくたくさん
話しかけられた記憶が残っています。私個人的には離脱しないだろうと予想
していたので、正直まさかと思いました。この国民投票の結果を受け、友人の
英国人JET数名は地元新聞などに取材を受けていたようです。国民投票の直後、
「離脱派の中には後悔している人もいる」と報道されたり、混沌とした状況
でした。

(3)影響と今後について

短期的に最もわかりやすい影響として発現したのが、急激なポンド安です。
もともと、ポンドという通貨はvolatilityと呼ばれる金額の変動幅がとても
大きい通貨なのですが、国民投票前と比べて対円では一気に30円程度下げました。
旅行者からすれば英国に行きやすくなった反面、急激な為替変動は世界経済に
影を落とす可能性があります。このため、日本からの輸出(例えば自治体から
名産品をイギリスに売り込むこと等)については、今のところ逆風が吹いた形
になっていますが、日々状況が変化している中、今後どのようになっていくか
を予想することは現時点では難しいと思います。

7月12日現在、保守党党首選最終候補者2名のうち1名が保守党選から撤退した
ため、テレーザ・メイ内相が新首相に就任することが決定しました。当初の
予定では10月2日の党大会で正式決定が予定されていましたが、結果的に大幅な
予定の前倒しとなりました。先の不透明感をある程度払拭できたことにより、
各市場も好感を受け、外国為替市場で下落が続いていたポンドも少し戻しました。
メイ新首相は「Brexit means Brexit.」と発言し、国民投票のやり直しや残留等
は検討しない方針を示しています。英国は離脱交渉開始まで時間を稼ぎたい一方、
EUは早期の離脱交渉を求めており、今後の動向が注目されます。

英国のEU離脱の動向については下記のジェトロロンドン事務所HPにわかりやすく
内容がまとめられておりますので、ぜひご覧になってください。
< https://www.jetro.go.jp/world/europe/uk/referendum/ >

                    (ロンドン事務所 吉嶋所長補佐)

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