調査・研究

オーストリアの地方自治情報メモ

オーストリア

4月25日大統領選結果

2010年05月15日 

 オーストリアでは、4月25日に大統領選挙が行われ、現職のハインツ・フィッシャー大統領が再選を果たした。
 選挙結果を得票率から見ると、社会民主党及び現職大統領にとっては良い結果となっている。ハインツ・フィッシャー大統領は無所属の立候補者であったが、社会民主党から多くの支援を受けていた。その結果、78.9%の得票で右派系立候補者のバーバラ・ローゼンクランツ氏を退けた。バーバラ・ローゼンクランツ氏は、移民政策への反対、ヨーロッパ・オーストリア自由党への反対を訴え、15.6%の得票率に終わった。キリスト教原理主義者のルドルフ・ゲーリング候補は、社会における女性の役割など、いくぶん時代錯誤な主張が原因となり、得票率5.4%と大敗した。

<低い投票率>
 ただし、49.2%という低い投票率を見ると、状況は楽観視できるものではない。オーストリアの新聞「Die Presse」紙が述べているように、少なくとも2回目の選挙を回避できたことはよかった。同紙は、「私たちはとてもこれ以上の緊張状態に耐えられなかった」と述べている。

 再選を果たしたハインツ・フィッシャー大統領は、祝賀パーティにおいて、自分が大勝した州を列挙し、この低投票率の問題には触れなかった。確かにオーストリア9州のうち8州において、ハインツ・フィッシャー氏は4分の3の得票率を獲得し、最も得票率の高かった州では80%を得た。しかしこれらの結果はいずれも自由選挙、秘密選挙が保障された地域での得票率でしかない。というのも、社会民主党と連立を組む中道右派政党のオーストリア人民党は、今回ハインツ・フィッシャー氏を支援せず、また独自候補を立てることもしなかった。その上選挙の直前には数名のオーストリア人民党員が有権者に大統領選では白票を投じるように訴えたのである。

<野党候補>
 今回の大統領選挙では野党も支持者拡大に苦戦した。野党陣営では選挙戦が始まった段階で、バーバラ・ローゼンクランツ氏は30%から35%の票を獲得できると見込んでいたが、結果的にはその2分の1の得票に終わった。右派色が強いバーバラ・ローゼンクランツ氏は、彼女の国家社会主義への考え方等から保守層の票を多く獲得できると見込まれていたが、彼女の夫が現在は法的に禁止された極右政党に属していたことなどが裏目に出てその目論見がはずれる結果となった。

【出典】雑誌「Spiegel」
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,druck-691206,00.html

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