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2010年12月03日


欧州地方自治体会議(CEMR)主催の会議に出席

平成22年10月28、29日の2日間にわたってフランス・ボルドー市で開催された「欧州地方自治体会議(CEMR)」ほか主催の会議「ボルドー2010(Bordeaux 2010)」に出席しましたので、下記の通り報告致します。


CEMR(正式名称はCouncil of European Municipalities and Regions)は、欧州41カ国にまたがる50以上の地方自治体及び地域政府の代表団体がメンバーとなっている組織です。英国からは、地方自治体協議会(LGA)のほか、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの自治体の連合組織がメンバーとなっています。CEMRは、メンバー組織が参加する会議を毎年開催しており、今回の会議は、「考察の時(A Time to Reflect)」とのテーマを掲げ、CEMRのほか、フランス自治体・地域組織欧州連合(AFCCRE)、ボルドー市、アキテーヌ州の主催で実施されました。欧州の地方自治体・地域政府関係者が多数出席し、変わりゆく欧州における自治体・地域組織の現状や問題点、来年創立60周年を迎えるCEMRの今後の課題等に関するスピーチが行われたほか、経済の衰退と再生を経験した都市の例なども紹介されました。

【Alain Juppéボルドー市長(元フランス首相)によるスピーチ】
・本会議の目的は、欧州の団結及び現代における欧州の共通の目標について考察することである。
・EUの拡大プロセスは現在、非常に微妙な段階にあり、恐らく、これ以上加盟国が増える前に、現加盟国の結束強化が必要であろう。
・日本などと同様、欧州の国々も、新興国によって経済大国としての地位が脅かされている。世界の先導役を担うのは、今やG8ではなく、G20である。G8のEU加盟国は4カ国であるが、G20のEU加盟国も同様に4カ国のみである(つまり増えていない)。
・EUが多分に官僚的な機構である一方、地方自治体及び地域政府は、少なくとも民主的な行政体としてその役割を果たすことができる。
・EUにおいて変革を推進するのは都市である。EU圏内の人口の75%は都市圏に居住しており、GDPの85%は都市圏で生み出されている。
・住民が最も信頼を置く行政体は、中央政府ではなく、地方自治体である。地方自治体は、この事実に誇りを持ち、主張する権利が十分にある。
・都市は、自らを、「変革の実験室」として見なすべきである。

【経済の衰退と再生を経験した3都市の代表者によるスピーチ】
*Ibon Aresoスペイン・ビルバオ副市長
・ビルバオ市は、経済構造変革プランを実行することによって、重工業主導型経済からサービス業主導型経済へと移行した。このことによって、我が市は、新たな投資と人材の誘致、そしてより良い雇用を提供するため、快適な都市環境と豊かな文化的環境を創出する機会を与えられた。
・ビルバオ市はまた、大規模な都市のクリーンアップ計画を実行し、より革新的な方法での地域スペースの再利用を進めた。これによって、新たな産業の創出がもたらされた。

*Karine Danielフランス・ナント副市長
・ナント市の経済は、かつては造船業に依存していたが、特に文化面に焦点を当てたサービス業主導型経済へと移行したことで復興に成功した。
・文化面への投資が、その他の分野の経済活動を支え、より幅広い意味での都市経済の復興を可能にした。
・また、ナント市は再開発の一環として、造船所があった地域を再開発し、その地域と市の他地域をトラムでつなぎ、交通網を整備した。

*Elizabeth Cameron(グラスゴー市議会議員)
・グラスゴー市は、刷新、適応、再生というプロセスを経て経済的困難を克服した。
・グラスゴー市は、かつては繁栄を謳歌し、大英帝国では国内第二の都市であった。しかし、1930年代の恐慌で全てを失った。
・しかし現在、グラスゴー市は、国際会議を含む多くの会議の開催地となっており、またビジネス・ツーリズムで訪れる人々も多い。
・グラスゴー市は、世界の他都市に先駆け、アート(芸術)を都市再開発の手段とすることに成功した。
・グラスゴー市のかつての港湾地域は、現在は国際的な金融地区に生まれ変わっている。
・グラスゴー市の経済再生10ヵ年戦略は、グラスゴー市の価値を更に高め、全ての住民と繁栄を共有し、そして経済環境を改善することを目的としていた。
・しかし、同戦略は、2007年に経済危機が始まった頃に策定されたものであったため、その後、更に、経済復興を目的とした10ポイントプランを策定した。
・「増加税収財源措置(TIF)」の利用が英国でも可能になれば、グラスゴー市に新たな経済再生の機会をもたらすと思われる。
・2014年にはグラスゴー市でのコモンウェルスゲームスの開催が決まっており、大きな経済効果をもたらすことが期待されている。

【Anders Knape CEMR副会長、スウェーデン地方自治体・地域政府協議会会長によるスピーチ】
・来年に創立60周年を控え、CEMRは今、転機を迎えている。
・過去60年の間に、冷戦は終焉し、EUは拡大した。その結果、CEMRのメンバー組織である地方自治体・地域政府の全国組織は、古い組織と新しい組織が共存することになった。
・地方自治体・地域政府の全国組織について指摘できることは、組織間で規模と資金力に差があるという点である。例えばスウェーデン地方自治体・地域政府協議会は、規模、資金力の点で、世界でもトップクラスにある。その一方で、小規模な組織は、資金繰りに困窮しているという現実がある。
・CEMRにメンバー組織がある国のうち、EU加盟国は27カ国、EU非加盟国は14カ国である。この14カ国の組織も、EU加盟国の組織と同様、CEMRの活動に積極的に関わることが重要である。
・CEMR内には現在、17の作業グループが存在している。これは多過ぎると思われ、統合、合理化により、CEMRと自治体の関係を強化する必要がある。
・投票によって選ばれるCEMR内の役職に就いていない地域の政治的リーダーを、CEMRの活動により積極的に関与させるべきである。
・CEMRはまた、より新しいメンバー組織を、CEMRの活動により積極的に関与させるべきである。CEMRは、排他的なクラブのようであってはいけない。
・私が指摘すべき最も重要な点は、CEMRは、メンバー組織とより密接に協働する必要があるということである。



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