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CLAIRメールマガジン vol.189(2017年9月8日)=ロンドンの住宅事情

2017年09月08日 

【記事】ロンドンの住宅事情
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ロンドン事務所赴任前にも住居費が非常に高額であることは聞いていましたが、
実際に自分の住む場所を探してみてそれを痛感しました。実際ロンドンでは一
人で部屋を借りられず、ルームシェアで何とか暮らしている人が大勢いるとの
ことです。しばしば社会問題として捉えられるロンドンにおける住宅費の高騰
ですが、一体どれほど高いのでしょうか。英国政府ウェブサイトGOV.UKで調べ
てみたところ、平均住宅購入価格は£490,718でした(※1)。この記事の執筆時
のレートで日本円に換算すると約7千万円となります。繰り返しますがこれは平
均価格です。昨年度比で7.3%上昇しています。一方英国の平均可処分所得(手
取り額)はというと、2017年の予測では£27,200(約4百万円(※2))で、日本
と大きくは変わらないようです。ちなみに今年度の英国平均可処分所得は昨年
との比較で1.8%増に留まっています。賃金の上昇が家賃の高騰に追い付いてい
ないのが現状のようです。

住宅価格が高騰する原因の一つは住宅不足であり、6月に開催されたLocal Gove-
rnment Association(LGA)というイングランド及びウェールズの地方自治体が
参加する団体の年次会議でも住宅不足について頻繁に議論されました。英国で
は1970年代から慢性的に住宅供給数が目標を大きく下回る状態が続いています。
この状況に加えて近年では海外からの投資目的の住宅購入が拍車をかけており、
深刻な住宅不足にもかかわらず、実際には住まれていない住宅が数多くあると
いう矛盾も生じています。またLGAではこうした住宅高騰、住宅不足がホームレ
スの増加(※3)にもつながっているとの指摘がありました。住宅高騰や住宅不足
はそれ自体に留まらず更なる問題にも発展し、英国の自治体を悩ませています。

(※1) https://www.gov.uk/government/news/uk-house-price-index-hpi-for-january-2017
(※2) https://www.ons.gov.uk/peoplepopulationandcommunity/personalandhouseholdfinances/incomeandwealth/bulletins/nowcastinghouseholdincomeintheuk/financialyearending2017
(※3) http://www.homeless.org.uk/facts/homelessness-in-numbers/rough-sleeping/rough-sleeping-explore-data

(ロンドン事務所所長補佐 山口)

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