Japan Local Government Centre (JLGC) : London > 調査・研究 > クレア本部メールマガジン > CLAIRメールマガジン vol.180(2017年6月16日)=イギリスにおける“就学前”教育事情

調査・研究

クレア本部メールマガジン

英国

CLAIRメールマガジン vol.180(2017年6月16日)=イギリスにおける“就学前”教育事情

2017年06月16日 

【記事】イギリスにおける“就学前”教育事情
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本より一足早い5歳で就学を迎えるイギリス(*1)では、近年「就学前教育」
に力が入れられています。Childcare Act 2006に基づきEarly Years Foundation
Stage(EYFS)と呼ばれる0~4歳までの学習目標が定められ、保育者はEYFSの
ガイドラインに沿うことが義務付けられました(*2)。Ofsted(英国教育水準
局)と呼ばれる評価機関が保育の検証も行い、ケアの質の担保も図られています。

ガイドラインでは、2歳時と就学直前の時期に到達度合いの確認をすることが規
定されており、アセスメントの実施には地方自治体の関与(*3)も求められま
す。結果はEYFSプロファイルとして個々に記録されるとともに、小学校にも共
有され、義務教育開始の早い段階でのつまずきを減らす一助となっているよう
です。

また、レセプションクラスと呼ばれる4歳児を対象とした、いわば「小学0年生」
を併設する小学校も多く存在します。小学校内で文字や数字に触れさせる機会
を与えることにより、小学校への円滑な移行を促進しているのでしょう。4歳か
ら小学校へ通う機会が得られるという意味では、イギリスは国全体が早期教育
に熱心と言えるかもしれません。

なお、国は就学前教育の無償化に取り組んでおり、全ての3、4歳児を持つ保護
者は、年間570時間分(15時間×38週)について無償で保育等のサービスが受け
られます。今秋からはさらに、一定の要件を満たせば、倍の年間1,140時間分が
適用されます(*4)。

イギリス滞在期間を通じて、周辺諸国も含めた幼児教育・ケアの在り方につい
て今後も注視し、現地ならではの情報の収集にも努めていきたいと思います。

(*1) ここではイングランドの事例による
(*2) http://www.foundationyears.org.uk/files/2017/03/EYFS_STATUTORY_FRAMEWORK_2017.pdf
(*3) https://www.gov.uk/government/publications/early-years-foundation-stage-assessment-and-reporting-arrangements-ara/moderating-the-early-years-foundation-stage-profile
(*4) https://www.gov.uk/help-with-childcare-costs/free-childcare-and-education-for-2-to-4-year-olds

                   (ロンドン事務所所長補佐 牧田)

ページの先頭へ